おろしハンバーグ
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白ご飯
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きゅうりのぬか漬け
おろしハンバーグの陰の主役、ナツメグの香りはどこから来るのか
ハンバーグのタネに少しだけ入るナツメグ。あの独特であたたかい香りは、ミリスチシンやエレミシンといった香り成分が背景にあります。肉のにおいをやわらげ、全体の輪郭を整える役割で、和食でいう生姜のような立ち位置に近い存在です。
ナツメグはニクズク科の常緑樹の種の中身で、じつはひとつの果実から二種類の香辛料が採れます。種そのものを砕いたものがナツメグ、その種を包む赤いレース状の仮種皮(かしゅひ)を乾かしたものがメース。同じ実から生まれた兄弟のような関係で、メースのほうがやや上品で繊細な香りと言われます。ひとつの木から名前の違うスパイスが二つ、というのは香辛料の中でも珍しい話です。
かつて大航海時代のヨーロッパでは、ナツメグは金と並ぶほどの価値で取引されていました。産地がインドネシアのバンダ諸島にほぼ限られていたためで、香辛料をめぐって国同士が島の争奪戦まで繰り広げたほど。今ではスーパーで気軽に手に入るあの小瓶が、かつては一国の運命を左右した、と思うと少し見る目が変わります。
そしてナツメグの香りは、加熱で花開くタイプ。ひき肉と一緒に焼くことで、脂となじみながら香りが立ち上がってきます。合いびき肉に含まれる脂質は、香り成分を溶かし込んで運ぶ役目も担っていて、油になじみやすい香り物質とは相性がいいわけです。ちなみに使う量はごく少量で十分。入れすぎると主張が強くなりすぎるので、あくまで縁の下の力持ちとして、ふわっと香る程度に。目立ちたがりのくせに、たくさん出番をあげると空気が読めなくなるタイプ、とでも言いましょうか。
大根おろしと合わせれば、脂とスパイスの香りに、みずみずしい酸味と辛味が加わって、口の中で表情が切り替わります。香りと脂と水分、それぞれの役割を思い浮かべながら味わうと、いつものハンバーグも少し違って感じられるかもしれません。
【用語メモ】
・香り成分:食材の香りをつくる揮発しやすい物質の総称。加熱で立ちやすいものが多い。
・仮種皮:種を包む外側の付属部分。ナツメグではこの部分がメースになる。
・脂質:水に溶けにくく油になじみやすい成分の総称。香り物質を溶かし込んで運ぶことがある。