いわしの梅肉はさみ揚げ
翡翠茄子(茄子の冷製あんかけ)
かぼちゃのそぼろ煮
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| いわし | EPA・DHA(n-3系脂肪酸) 青魚の脂に多く含まれ、栄養学の分野でも注目される成分です |
| 大葉・梅肉 | 香り成分・クエン酸 揚げ物にさっぱりとした輪郭を添えます |
| 茄子 | 水分・ナスニン(色素成分) みずみずしさと皮の色合いを作ります |
| 枝豆 | たんぱく質・葉酸 大豆を未熟なうちに収穫した野菜で、彩りにも一役買っています |
| かぼちゃ | β-カロテン・食物繊維 体内でビタミンAに変わる成分を含む食材です |
| 鶏ひき肉 | たんぱく質 そぼろのうま味とコクを支えています |
※成分の一般的な説明であり、特定の効果を保証するものではありません。
いわしの梅肉はさみ揚げに見る、青魚の脂と酸味の相性
いわしといえば「光り物」。この銀色に光る皮の下に、この魚の面白さがぎゅっと詰まっています。青魚の脂には、EPAやDHAといったn-3系脂肪酸(体の中で作りにくく、食事から取り入れたい脂肪酸のグループ)が比較的多く含まれることで知られていて、栄養学の分野でもよく話題にのぼる成分です。
ただ、この手の脂は「不飽和」といって分子の中に折れ曲がった構造を持っているぶん、空気や熱で酸化しやすいという素直すぎる一面があります。水揚げ後、時間の経過とともに風味が変わりやすいのはこのため。だからいわし料理は鮮度が命、とよく言われるわけですね。
そこで登場するのが梅肉と大葉です。梅干しのクエン酸のような酸味、大葉に含まれるペリルアルデヒドという香り成分は、青魚特有の匂いをふわっと覆い隠してくれます。揚げるという調理も理にかなっていて、高温でさっと火が入ると表面のたんぱく質が変性して衣がまとまり、中の脂と水分を閉じ込めます。同時に衣の中では糖とアミノ酸が反応するメイラード反応が進み、あの香ばしさが生まれるわけです。
いわしの体の側面にある濃い青緑色のラインについて少し。あれは「側線」だけでなく、光を反射する構造色によるもので、色素そのものではなく細胞の層構造が光を返して銀色に輝いています。つまり、いわしはインクを使わず物理で光っている、というちょっと粋な魚なのです。
また、いわしの語源は諸説ありますが「弱し(よわし)」から来たという説があり、傷みやすさが名前になったとも言われています。名前からして自己申告で足が早いと白状しているようなもので、そのぶん梅と大葉に守ってもらっている今日の一皿は、いわしにとってなかなか心強い布陣かもしれません。
味・香り・食感という面から見ても、脂ののったいわしに酸味と香りが重なることで、油の重さがすっと軽くなります。この引き算のバランスこそ、はさみ揚げという料理の見どころです。
【用語メモ】
・n-3系脂肪酸:EPAやDHAなどを含む脂肪酸のグループ。青魚の脂に多い。
・たんぱく質変性:熱などによってたんぱく質の形や性質が変わること。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱で反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。
・構造色:色素ではなく、細かな構造が光を反射して見える色。