ひとくちカツ
きゅうりとわかめの酢の物
だし巻き卵
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 豚ヒレ肉 | たんぱく質を多く含み、部位としては脂質が控えめ。ビタミンB1を含む食材として知られています |
| わかめ | 食物繊維やミネラルを含む海藻です |
| 釜揚げしらす | たんぱく質やカルシウムに関わる栄養素を含みます |
| 玉子 | たんぱく質のほか、さまざまなビタミンを含む食材です |
| きゅうり | 水分が多く、みずみずしさが持ち味です |
※効能を保証するものではなく、食材に含まれる成分の一般的な説明です。
ひとくちカツに使う豚ヒレ肉と、ビタミンB1という手がかり
カツと聞くと「がっつり」なイメージですが、今日使っているのはヒレ肉。豚の背骨の内側に沿ってひっそり存在する、細長い筋肉です。ここは体を支えたり激しく動かしたりする部位ではないため、運動量が少なく、結果としてきめが細かく脂質が控えめ。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」でも、豚ヒレ肉(赤肉・生)100gあたりの脂質は3.7g前後とされ、ロースやバラと比べるとかなりあっさりした数字になっています。揚げ物なのに重たくなりすぎないのは、この部位の性格によるところが大きいわけです。
もうひとつ、豚肉を栄養学の面から眺めるときによく登場するのがビタミンB1。糖質をエネルギーに変える流れに関わる栄養素として知られていて、豚肉は食材の中でもこれを多く含むグループに入ります。日本食品標準成分表2020年版では豚ヒレ肉(赤肉・生)100gあたり1.32mgとされ、これは肉類の中でもかなり上位。白ご飯と一緒に食べる献立と、なんだか相性の良さを感じませんか。
ビタミンB1は水に溶けやすく熱にも弱い、ちょっと繊細な性質を持っています。ところが、にんにくや玉ねぎに含まれる香り成分「アリシン」と結びつくと「アリチアミン」という形になり、体内にとどまりやすくなることが知られています。この発見をきっかけに生まれたのが、いわゆる栄養ドリンクの成分開発につながる研究でした。つまり、餃子やスタミナ炒めで豚肉とにんにくを合わせるのは、味の相性だけでなく成分の面でもなかなか理にかなった組み合わせなんですね。
ヒレ肉は英語で「tenderloin(テンダーロイン)」、フランス語では「filet(フィレ)」と呼ばれます。日本語の「ヒレ」はこのフィレがなまったもの、というのが定説。つまりトンカツ屋さんのメニューには、しれっとフランス語が混ざっている……と思うと、なんだか急におしゃれに見えてきます。とはいえ揚げたてのひとくちカツを前にすると、語源よりも先に箸が動いてしまうのですが。
揚げるときにパン粉がきつね色に色づき、香ばしい香りが立つのはメイラード反応によるもの。低脂質でくせのない赤身に、この香ばしさが重なることで、シンプルな塩胡椒でも満足感のある一皿になります。味や香りとは別の角度から見ても、なかなか奥行きのある食材です。
【用語メモ】
・ビタミンB1:糖質をエネルギーに変える流れに関わる栄養素。水に溶けやすく熱に弱い性質があります。
・アリシン:にんにくや玉ねぎの香りのもとになる成分。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱で反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。