きすの天ぷら
きゅうりのぬか漬け
おくらの胡麻和え
大根と人参の甘酢和え
赤だし
きゅうりのぬか漬け
きすは、低脂質でたんぱく質を含む白身魚として知られています。おくらや大根、人参などの野菜も添え、彩りと食感に変化をつけています。
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| きす | たんぱく質を含み、脂質が控えめな白身魚として知られています |
| かぼちゃ・さつまいも | でんぷんや食物繊維を含みます |
| おくら | 独特の粘りを持ち、食物繊維を含む野菜です |
| 炒り胡麻 | 脂質やミネラルを含む種子です |
| 大根・人参 | 水分を多く含み、甘酢とよくなじみます |
きすの天ぷらに見る、白身魚の水分と衣が作るさくっとした食感
きすは、スズキの仲間にあたる細身の白身魚です。天ぷら種として長く選ばれてきた背景には、身の水分量と脂の少なさがあります。脂ののった魚は焼きや煮付けで真価を出しますが、きすのように淡白でみずみずしい身は、衣で包んで短時間で揚げる調理と相性がいいのです。
天ぷらのさくっとした食感は、衣の中で起こる小さな出来事の積み重ねです。衣の水分が高温の油に触れて一気に水蒸気へと変わり、その勢いで衣の中に細かなすき間ができます。同時に、衣の小麦粉に含まれる成分と、ごくわずかな糖やアミノ酸が加熱によって反応し、うっすらとした色づきと香ばしさが生まれます。この糖とアミノ酸の反応がメイラード反応で、揚げ色や香りの背景にある働きです。
きすの身のほうでは、熱が入ることでたんぱく質変性が進み、透き通っていた身がふわりと白くほどけます。水分を多く含む身なので、揚げすぎると水分が抜けてぱさつきやすく、火の入れ方が味の輪郭を左右します。淡白な魚ほど、加熱の見極めがそのまま表情に出るのが面白いところです。
きすは漢字で「鱚」と書きますが、これは日本で作られた国字(和製漢字)だとされています。魚へんに「喜」と書くこの字は、縁起のよさから祝いの席にちなんで当てられたという説があります。海外の魚名から来たものではなく、日本の食文化の中で生まれた字というわけです。
ちなみにきすは、砂地の海底に暮らす魚で、警戒心が強く、少しの物音でも砂に身を隠すと言われています。あれだけ上品な天ぷらになる魚が、海の中ではかなりの引っ込み思案。揚げ油の中でようやく主役になる、控えめな出世魚ならぬ出世白身、といったところでしょうか。
付け合わせのさつまいもやかぼちゃは、加熱ででんぷんが糊化し、ほくっとした口当たりに変わります。淡白なきすと、甘みのある野菜。同じ油で揚げながら、成分の違いがそのまま食感と味の対比を作っているのも、天ぷらという料理の奥深さです。
【用語メモ】
・たんぱく質変性:熱などによって、たんぱく質の形や性質が変わること。加熱で身が白く固まるのもこの働き。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱によって反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。
・でんぷんの糊化:でんぷんが水分と熱を受けて、やわらかくもっちりした状態に変わること。
・国字:日本で独自に作られた漢字のこと。