赤魚の甘酢あんかけ
豆苗のおひたし
肉焼売
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 赤魚 | たんぱく質を含み、脂質は比較的おだやかな白身魚として知られています。 |
| 豆苗 | β-カロテンやビタミンKに関わる栄養素を含む緑黄色野菜です。 |
| 豚ひき肉 | たんぱく質のほか、エネルギー代謝に関わるビタミンB1を含みます。 |
| 黒酢・米酢 | 酢酸を主体とし、料理に酸味の輪郭を添える調味料です。 |
| 胡麻 | 脂質やミネラルを含み、香ばしさの背景にある食材です。 |
揚げ物・蒸し物・和え物と調理法が分かれているので、油の重さが一皿に偏りにくい組み合わせになっています。
赤魚の甘酢あんかけに重なる、白身魚のたんぱく質と酢の酸味
「赤魚」と呼ばれる魚、実は一種類ではありません。アコウダイやメヌケ、アラスカメヌケなど、赤い体色の深海性の魚をまとめてこう呼ぶことが多く、切り身になって並ぶ頃には見た目もそっくり。名前がざっくりしているわりに、身はきちんと白身で、加熱するとほろりとほどける優しい食感が持ち味です。
この「白くほどける」感じは、魚のたんぱく質の性質が背景にあります。加熱によってたんぱく質変性が起こると、それまで折りたたまれていたたんぱく質の構造がほどけて固まり、身がしっかりまとまりつつも、繊維に沿ってほろっと割れるようになります。白身魚は筋肉の繊維が短めのタイプが多く、これが口の中でのやわらかさにつながっていると言われています。
そこへ甘酢あんです。今回は黒酢と米酢を合わせていますが、酢の主役である酢酸は、揚げ物の油っぽさをすっと切って、あと味に軽さを添えてくれます。黒酢は米などを長く発酵・熟成させて作るため、酢酸のほかにアミノ酸類も含まれ、独特のまろやかなコクと香ばしさが生まれます。米酢よりも色が濃く、香りに丸みがあるのはこのためです。二種類の酢を合わせるのは、鋭い酸味と深い酸味を重ねて、あんの表情に幅を持たせる狙いがあります。
そういえば、赤魚の仲間であるメヌケの「めぬけ(目抜け)」という名前。これは深い海から一気に釣り上げられると水圧の変化で目が飛び出したように見えることに由来すると言われています。深海暮らしゆえの、ちょっと気の毒なネーミング。本人(本魚?)としては「そんなに驚いてないんだけどな」と言いたいところかもしれません。
そして揚げてあんをかけると、時間とともにあんの水分が衣にじわりと移っていきます。揚げたては衣がぱりっと、少し置くとあんを吸ってしっとり――どちらが好みかは意見が分かれるところで、これはもう永遠のテーマ。ぱりぱり派もしっとり派も、それぞれの正義があります。白身のたんぱく質、酢の酸味、衣の水分移動。地味な魚に見えて、口に入るまでの間に案外いろいろな出来事が重なっているわけです。
【用語メモ】
・たんぱく質変性:熱などによって、たんぱく質の形や性質が変わること。加熱で身が固まるのもこの一種。
・酢酸:酢の酸味の主成分。油っぽさを和らげ、あと味を軽くする働きがあります。
・水分移動:あんや汁の水分が衣などに移っていく現象。時間とともに食感が変わる理由のひとつです。