新生姜と油揚げの炊き込みご飯
鮭の塩焼き
揚げ出し豆腐
赤だし
きゅうりのぬか漬け
新生姜が「みずみずしい」わけ ― 収穫時期と辛味成分の話
同じ生姜なのに、新生姜とふだんの生姜(ひね生姜)ではずいぶん印象が違いますよね。この差、実は「熟成の時間」がほとんどを決めています。
新生姜は、育った生姜を早めに掘り上げたもの。まだ組織に水分をたっぷり抱えていて、繊維も若く、あのシャキッとした歯ざわりとみずみずしさが生まれます。一方、ひね生姜は収穫後にしばらく貯蔵され、水分が抜けて繊維が締まっていく。だからあの独特の強い辛味と、噛んだときの筋っぽさが出てくるわけです。
生姜の辛味のもとは「ジンゲロール」という成分。これがなかなか面白い性質を持っていて、加熱したり乾燥させたりすると「ショウガオール」という別の成分へと表情を変えていきます。新生姜の方がフレッシュで軽い辛さに感じられ、乾燥生姜や火を通した生姜がガツンとした辛味になるのは、この変化が背景にあるんですね。同じ食材が、時間や加熱で味の輪郭を変えていくのは、料理をする側から見てもなかなか興味深いところです。
ここで豆知識をひとつ。私たちが「生姜の根」と思って食べているあの部分、実は根っこではなく「根茎(こんけい)」と呼ばれる、地下にのびた茎の一種なんです。つまり土の中の茎をむしゃむしゃ食べている、というわけ。見た目の堂々とした根っぽさに、まんまと騙されていた方も多いのでは。
ちなみに、寿司屋でおなじみのガリも、新生姜の水分の多さと繊維のやわらかさがあってこそ。薄く切って甘酢にさっと漬けることで、あの軽やかな食感に仕上がります。
もし、ひね生姜で作ったなら、薄く切ってもその繊維はなかなかの強敵。あごが「これは手ごわい相手だな」と音を上げそうです。
今日の炊き込みご飯では、その新生姜のみずみずしい香りを、だしを吸った油揚げのうま味がふんわり受け止めます。加熱で辛味の角がやわらぎ、香りだけがすっと残る。この引き算のバランスが、夏のご飯物にちょうどいい塩梅なんです。
【用語メモ】
・ジンゲロール:生姜の辛味や香りのもとになる成分。加熱や乾燥で別の成分へ変化する。
・ショウガオール:ジンゲロールが加熱や乾燥で変化してできる成分。より強い辛味に感じられる。
・根茎:地下にのびた茎の一部。根のように見えるが茎の仲間で、生姜やれんこんが代表例。