味噌カツ
茄子の冷製あんかけ
蓮根とごぼうの金平
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 豚肉 | たんぱく質、ビタミンB1 ビタミンB1はエネルギー代謝に関わる栄養素として知られています |
| 味噌 | 発酵由来のうま味成分、たんぱく質 大豆を発酵させる過程でアミノ酸が生まれます |
| 茄子 | 水分、食物繊維、ポリフェノール 皮の色素はナスニンと呼ばれる成分です |
| れんこん・ごぼう | 食物繊維、ビタミンC ごぼうは水溶性・不溶性の食物繊維をバランスよく含みます |
| 枝豆 | たんぱく質、葉酸 未熟な大豆で、豆と野菜の両方の性質を持ちます |
やわらかく整えると、豚肉はB1、味噌は発酵のうま味、野菜類は食物繊維と、それぞれ違う持ち味を献立に添えています。
味噌カツの味噌だれに潜む、大豆が発酵で生まれ変わる話
味噌カツのたれをひとなめすると、甘さの奥にコクや香ばしさがじんわり広がります。あの複雑な味は、もとをたどれば大豆・麹・塩という、驚くほど地味な三点セットから始まっています。
味噌づくりでは、麹菌の出す酵素が働きます。プロテアーゼという酵素が大豆のたんぱく質を切り分けていくと、うま味のもとになるアミノ酸、とくにグルタミン酸が増えていきます。同時にアミラーゼという酵素がでんぷんを糖に変えていくので、あの自然な甘みも生まれます。仕込んだ直後の味噌と、時間の経過とともに熟成が進んだ味噌では、色も香りもまるで別物。これは糖とアミノ酸が反応するメイラード反応が、ゆっくり進んでいくためでもあります。赤だしの深い色も、まさにこの積み重ねの結果です。
この味噌の「熟成が進むほど色が濃くなる」現象、実は冷蔵庫の中でもじわじわ続いています。買ってきた白っぽい味噌が、しばらくすると少し茶色くなっていた経験、ありませんか。あれは傷んだのではなく、味噌が静かに歳を重ねているーーつまり、ご家庭の冷蔵庫は小さな熟成蔵でもあるわけです。
ちなみに今回の味噌だれには、玉みそ(三重県伊賀市生まれ)と葉隠味噌(佐賀県嬉野市生まれ)という二種類の味噌を使っています。味噌を複数ブレンドすると、それぞれのうま味と塩味のバランスが重なり合って、一種類では出しにくい輪郭が生まれます。味噌同士がお見合いして、いいところを出し合ってい、と思うとちょっと微笑ましいですね。
栄養の面から眺めると、味噌は大豆のたんぱく質を、発酵によって体になじみやすい形へ近づけた食材といえます。発酵食品として栄養学の分野でも注目される存在ですが、塩分も含むので、たれをたっぷり吸った揚げ物とは、キャベツやレタスの水分・食物繊維がいい相棒になります。味の面でも、油と味噌の濃さを生野菜がすっと受け止めてくれる。味噌カツにキャベツが添えられているのは、味の設計としても理にかなっているんですね。
【用語メモ】
・プロテアーゼ:たんぱく質を分解する酵素。うま味成分のアミノ酸を生み出します。
・アミラーゼ:でんぷんを糖に分解する酵素。味噌の甘みの背景にあります。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が反応し、色や香ばしい香りを生む変化。
・グルタミン酸:うま味の代表的な成分のひとつ。