赤魚の野菜あんかけ
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白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
赤魚の野菜あんかけに見る、白身魚の淡白さとあんが寄り添う理由
赤魚と呼ばれる魚は、実はひとつの魚種を指すわけではなく、アコウダイやアラスカメヌケなど、赤い体色をした深海性の魚がまとめてそう呼ばれることが多いんです。名前は同じでも、産地や種類でちょっと顔ぶれが違う、というのはなかなか面白いところ。
さて、この赤魚は淡白な白身。白身魚は一般に脂質が控えめで、たんぱく質がしっかりしているのが特徴です。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」では、赤魚(あこうだい、生、100gあたり)でたんぱく質が約16.8g、脂質が約6.7gと記載されています。青魚に比べると脂の量は穏やかで、味わいもすっきり。だからこそ、あんかけという調理がよく似合います。
あんは、だしに醤油やみりんを合わせ、片栗粉でとろみをつけたもの。このとろみの正体はでんぷんの糊化という現象です。でんぷんは水と一緒に加熱されると粒が水を吸ってふくらみ、やがて崩れてとろりと粘る。この糊化したあんが魚の表面をコーティングすることで、揚げた赤魚の温度と水分をやさしく受け止め、口に運ぶまで乾きにくくしてくれます。淡白な白身は冷めると味がぼやけがちですが、あんが薄い膜となって、だしのうま味を身に寄り添わせてくれるわけです。
そして玉ねぎ、椎茸、しめじ、えのき。ここもあんの味の背景を支える名脇役です。椎茸、しめじにはグアニル酸、玉ねぎには加熱で引き出される甘み、そしてだしのグルタミン酸やイノシン酸。うま味成分は種類が重なると互いを引き立て合うことが知られていて、この「うま味の相乗効果」という言葉は、日本の研究者たちがだし文化の中から見つけ出してきた考え方でもあります。地味な野菜の集まりに見えて、実は味の設計図としてはとても理にかなった組み合わせなんですね。
ちなみに深海にすむ赤魚は、水圧の高い環境で暮らしているため、水揚げされると体色の赤がより鮮やかに見えることがあります。深いところにいる魚ほど、私たちの目に触れる頃には案外華やか、というのはちょっと不思議な話です。
最後にひとつ。あんかけは冷めにくいのが利点ですが、それゆえに「見た目そんなに熱そうじゃないのに口の中は大惨事」という現象を生む、油断ならない料理でもあります。とろみは熱を閉じ込めるのが上手すぎるので、最初の一口はどうか慎重に。
【用語メモ】
・でんぷんの糊化:でんぷんが水と加熱によって水を吸い、とろみや粘りを生む変化のこと。
・うま味の相乗効果:グルタミン酸とイノシン酸など、異なるうま味成分が重なると味を強く感じやすくなる現象。
・グアニル酸:干し椎茸などに含まれるうま味成分のひとつ。