鯖の味噌煮
青椒肉絲
ひじき入りだし巻き卵
白ご飯
赤だし
きゅうり漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| さば | たんぱく質、脂質(EPA・DHAなどの脂肪酸) 青魚らしい脂を含む食材です |
| 豚肉 | たんぱく質、ビタミンB1 糖質の代謝に関わる栄養素として知られています |
| 筍 | 食物繊維、カリウム 歯ざわりを生む繊維を含みます |
| ひじき | 食物繊維、鉄、カルシウム 海藻由来のミネラルを含む食材です |
| 卵 | たんぱく質、ビタミン類 幅広い栄養素をバランスよく含みます |
※成分の一般的な傾向を示すものです。含有量は品種・産地・調理条件などで変わります。
鯖の味噌煮に見る、青魚の脂と味噌がつくる香りのなじみ
さばを語るうえで外せないのが、身に含まれる脂の存在です。青魚の脂には、EPAやDHAと呼ばれる脂肪酸が含まれます。これらは水温の低い環境でも固まりにくい性質を持つ脂肪酸として知られていて、冷たい海を泳ぐ魚が身にまとっている、といわれる背景にもつながっています。栄養学の分野でも注目される成分ですが、ここではまず、料理としての振る舞いに目を向けてみます。
この手の脂は酸化しやすく、時間の経過とともに独特の匂いへ変わりやすいという一面があります。さばに生姜を合わせるのは、生姜の香り成分がその匂いの印象をやわらげ、味噌煮全体の輪郭を整えてくれるからです。八丁味噌の濃い色とコクは、さばの脂をしっかり受け止めて、こっくりとした一体感を作ります。味噌に含まれるアミノ酸やうま味成分が、魚の身にじんわりとなじんでいくわけです。
さばの脂は、季節によってその量が大きく変わります。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」を見ると、まさば(生・可食部100gあたり)の脂質は約16.8gと記されていますが、これはあくまで一つの目安。実際の魚は「秋さば」「寒さば」と呼ばれるように、脂ののる時期がはっきりしていて、同じ魚とは思えないほど身の質が変わります。つまり、成分表の一行の裏側には、季節をまたいだ大きな幅が隠れているのです。
もうひとつ、こんな話も。さばは足が早い魚の代表格で、「さばを読む」という言葉の由来にも、数を素早く数えて売りさばいた市場のせわしなさが関わっている、という説があります。数をごまかす例えに使われるくらい、昔から急いで扱われてきた魚だったわけです。今日の一皿は、味噌でじっくり煮含めて、そのせっかちな魚をすっかり落ち着かせた姿、ともいえるかもしれません。
味噌煮を口にした時の、脂のまろやかさと味噌のコク、生姜の後を引く香り。それらはすべて、青魚の脂という素材の個性と、味付けの組み立てが重なって生まれる表情です。成分の話を知ってから食べると、いつもの味噌煮も少し違って見えてくる?ーーかも知れません。
【用語メモ】
・脂肪酸:脂質を構成する成分のひとつ。種類によって固まりやすさや性質が異なります。
・EPA・DHA:青魚などに含まれる脂肪酸。栄養学の分野で研究が続けられている成分です。
・うま味成分:昆布や味噌などに含まれる、味の厚みを感じさせる成分の総称。