新生姜と油揚げの炊き込みご飯
鰆の柚庵焼き
大根と豚肉のさっと煮
吸い物
大根葉の漬物
新生姜の香りと辛みは、どこから来て、炊き込むと角がとれるのか
新生姜は、しょうがを若いうちに掘り上げたもので、白い肌に薄紅色の付け根がのぞきます。同じしょうがでも、貯蔵して繊維がしっかりしたひね生姜とは口当たりが違い、みずみずしくて辛みもおだやかです。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、しょうが(根茎・皮なし・生)の水分は100gあたり91.4gと、ほとんどが水で占められています。新生姜はそこからさらに水分が多く、繊維が少ない傾向があり、生のままかじっても軽やかな印象になります。
しょうがの辛みを担っているのは、ジンゲロールという成分です。生のしょうがで存在感を出している辛み成分で、加熱や乾燥が進むと、一部がショウガオールという別の形に姿を変えます。ショウガオールは刺激の質がやや鋭く、しょうがを乾燥させたときのピリッとした辛さの背景にあります。一方で、加熱が穏やかに続くと、ジンゲロンという丸みのある甘い香りを持つ成分も生まれます。同じしょうがでも、生・乾燥・加熱で辛みの表情が変わるのは、こうした成分の移り変わりが背景にあります。
香りの方は、ジンギベレンをはじめとするテルペン類が中心です。皮をむいたときや切ったときに立ちのぼる、あの清々しい香りの正体で、揮発しやすいぶん、加熱とともに穏やかな香りへと落ち着いていきます。炊き込みご飯では、しょうがを米やだしと一緒にゆっくり火に通すため、生のときの鋭い辛みや香りの角がとれ、ご飯全体にやわらかく香りがいきわたります。新生姜のもともとの辛みのおだやかさも、この一体感に一役買っています。
ここで油揚げが効いてきます。しょうがの香り成分や辛み成分には油になじみやすいものが含まれ、油揚げの油分がそれを受け止めて、ご飯へ香りを運ぶ橋渡し役を担います。新生姜のさっぱりした香りと、油揚げのコク。そのあいだをだしがつなぐことで、炊き上がりの一口に奥行きが生まれます。
【用語メモ】
・ジンゲロール:生のしょうがに多い辛み成分。加熱・乾燥で一部がショウガオールに変わる。
・ショウガオール:ジンゲロールが加熱や乾燥で変化したもの。鋭めの辛みの背景にある成分。
・ジンギベレン:しょうがの香りを形づくるテルペン類の一つ。揮発しやすく、加熱で穏やかになる。