鶏肉の照り焼き
豆苗のナムル
高野豆腐の煮物
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
高野豆腐は「凍り豆腐/乾」の数値を参考値として掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 鶏肉 | 若どり・もも・皮つき・生 | 水分68.5g、たんぱく質16.6g、脂質14.2g、ビタミンB6 0.25mg |
| 豆苗 | トウミョウ/茎葉/生 | 水分90.9g、たんぱく質3.8g、食物繊維総量3.3g、β-カロテン当量4100μg、ビタミンK 280μg、ビタミンC 79mg |
| 高野豆腐 | 凍り豆腐/乾 | 水分7.2g、たんぱく質50.5g、脂質34.1g、カルシウム630mg、鉄7.5mg |
| 人参 | にんじん | β-カロテンを含む緑黄色野菜として知られています |
| 椎茸 | しいたけ | きのこらしい香りとうま味を持つ食材です |
鶏もも肉は、たんぱく質と脂質を含む食材です。
照り焼きにすると、醤油、砂糖、みりん、酒の調味が、肉の焼き香と重なります。
豆苗は、β-カロテンやビタミンK、ビタミンCなどを含む野菜です。
ごま油で和えることで、青い香りに油のまろやかさが添わります。
高野豆腐は、乾燥によって成分が凝縮された大豆加工品です。
煮物にすると、だしを含みながら、たんぱく質を多く含む食材らしいしっかりした存在感を見せてくれます。
高野豆腐の煮物で掘り下げたいのは、だしを含む性質そのものよりも、豆腐を「凍らせる」「乾かす」という工程を経て、まったく別の食感へ変わるところです。
高野豆腐は、豆腐を凍結、熟成、乾燥させて作る大豆加工品です。
もとの豆腐は水分を多く含むやわらかな食品ですが、高野豆腐になると、水分が少なく、軽く、保存性のある乾物になります。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「凍り豆腐/乾」の可食部100gあたり、水分7.2g、たんぱく質50.5g、脂質34.1g、カルシウム630mg、鉄7.5mgとされています。
乾燥品100gあたりの数値なので、実際の煮物一食分とは量の見方が異なりますが、高野豆腐が大豆由来のたんぱく質を多く含む食品であることが分かります。
ここで面白いのは、たんぱく質の「量」だけではありません。
豆腐のたんぱく質が、凍結と乾燥によって、食感の違う食品へ変わっていく点です。
たんぱく質は、熱や加工によって形や性質が変わることがあります。
これをたんぱく質変性といいます。
高野豆腐では、豆腐に含まれる大豆たんぱく質が、凍結や乾燥の工程を経ることで、もとのなめらかな豆腐とは違う、しっかりした歯ざわりを持つ構造へ近づいていきます。
豆腐を凍らせると、中に含まれる水分は氷になります。
その過程で、豆腐の中のたんぱく質や脂質のまとまり方も変わります。
その後に乾燥させることで、やわらかな豆腐とは違う、煮ても崩れにくい独特の食感が生まれます。
高野豆腐を煮物にすると、だし、醤油、砂糖、みりん、酒の味が、表面から少しずつなじんでいきます。
加工によって変化したたんぱく質の構造があるからこそ、高野豆腐は煮ても形を保ち、噛んだときにだしの風味をゆっくり感じさせる食材になります。
大豆たんぱく質は、料理の中で強い香りを出す成分ではありません。
しかし、だしや調味料と合わせることで、静かな厚みを作ります。
高野豆腐の煮物では、たんぱく質そのものの淡い風味に、だしのうま味、醤油の塩味、砂糖とみりんの甘みが重なります。
栄養学の面では、高野豆腐はたんぱく質だけでなく、カルシウムや鉄も含む食材です。
カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。
鉄は、赤血球をつくるために必要な栄養素で、全身へ酸素を運ぶはたらきに関わります。
高野豆腐は、乾燥によって成分が凝縮された大豆加工品として、これらをあわせて含む食材です。
また、高野豆腐には脂質も含まれます。
大豆由来の脂質は、肉の脂のように強く主張するものではありませんが、煮物の中では口当たりのやわらかさや、味の丸みに一役買っています。
乾物でありながら、煮るとどこかやさしい印象になるのは、たんぱく質、脂質、水分、だしが重なっているからです。
今回の煮物には、にんじん、たけのこ、椎茸、絹さやも入ります。
にんじんは色合いとほのかな甘みを添え、たけのこは繊維の歯ざわりを加えます。
椎茸はきのこらしい香りとうま味を持ち、絹さやは青い香りと彩りを添えます。
その中で高野豆腐は、派手に香る食材ではありません。
けれど、凍結と乾燥によって生まれた独特のたんぱく質の食感が、煮物全体に落ち着いた芯を作っています。
よく「高野豆腐は栄養がある」と言われることがあります。
その背景には、乾燥によって成分が凝縮された大豆加工品であること、たんぱく質やミネラルを含むことへの注目があります。
料理として見たときには、栄養の濃さだけでなく、豆腐が乾物へ変わることで生まれる食感の変化も大きな魅力です。
高野豆腐の煮物は、豆腐のなめらかさとは別の方向に進化した料理です。
凍らせ、乾かし、戻し、煮る。
その工程の中で、大豆たんぱく質は形を変え、だしと調味料をまといながら、静かな存在感を持つ一品になります。
今日の高野豆腐を、そんな乾物ならではのたんぱく質の変化とともに楽しんでいただければと思います。