鶏もも肉の塩麹焼き
ほうれん草とえのきのからし和え
とうもろこしと枝豆のかき揚げ
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
塩麹がひらく、鶏もも肉のうま味とやわらかさの舞台裏
塩麹は、米麹と塩、水を合わせて発酵させた調味料です。見た目は地味ですが、その中では麹菌が作り出したたくさんの酵素が働いています。とくに注目したいのが、たんぱく質を分解するプロテアーゼという酵素です。鶏もも肉を塩麹に漬けておくと、この酵素が肉のたんぱく質を少しずつほどいて、うま味のもとになるアミノ酸を増やしてくれます。焼く前から下味だけでなく、味そのものが育っていくイメージですね。
さらに、塩には肉の中の水分を保ちやすくする働きがあり、加熱してもパサつきにくい、しっとりとした食感になります。塩麹に含まれる糖類も、焼いたときの焼き色や香ばしさに一役買っています。糖とアミノ酸が加熱で反応して香ばしい香りと色を生むメイラード反応が起こりやすくなるためで、塩麹焼きの表面に浮かぶあの香ばしさは、発酵と加熱が手を組んだ成果というわけです。
麹菌(アスペルギルス・オリゼー=ニホンコウジカビ)ーー実は日本の「国菌」に正式に認定されています。国花が桜、国鳥がキジであるように、日本には国のカビもいる、というわけです。味噌も醤油も日本酒も、この小さな菌の働きに支えられていて、和食の土台をこっそり陰で支える、いわば発酵界の縁の下の力持ちです。
ちなみに塩麹、一時期ブームで各家庭の冷蔵庫にひとつは眠っていた時期がありましたよね。買ったはいいけれど「で、何に使うんだっけ?」と冷蔵庫の奥で静かに熟成を続けていたーーという方も多いはず。でも大丈夫、塩麹は鶏肉ととても相性がよく、漬けて焼くだけでちゃんと仕事をしてくれます。眠らせておくにはもったいない働き者なのです。
うま味という面から見ると、鶏もも肉はもともとアミノ酸を含み、そこに塩麹の酵素が加わることで、味の輪郭がより広がります。味や香りとは別の角度から眺めても、発酵という現象は本当に興味深い題材です。
【用語メモ】
・酵素:生き物が作るたんぱく質で、さまざまな反応を助ける働きをします。
・プロテアーゼ:たんぱく質を分解する酵素の総称。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱で反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。
・アミノ酸:たんぱく質を構成する成分で、うま味にも関わります。