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本日の日替わりランチは、いわしの天ぷらを主菜に、ごぼうの金平、ほうれん草としめじの胡麻和えを合わせました。
白ご飯、赤だし、大根葉漬けとともにご用意しています。
いわしの天ぷらは、手開きして下処理したいわしに、かぼちゃ、茄子、玉ねぎ、獅子唐、大葉を合わせた一品です。
天つゆは、だし、醤油、みりんで仕立てています。
ごぼうの金平は、ごぼう、こんにゃく、にんじん、ちくわ、ごまを、砂糖、醤油、みりん、ごま油、輪切り唐辛子で炒めた副菜です。
ほうれん草としめじの胡麻和えは、あたり胡麻、砂糖、醤油、みりんで和えています。
揚げ物、炒め物、和え物と、調理法が変わると、食材の脂質、水分、香り、だしとのなじみ方も変わります。
本日も、かに久の日替わりランチを通して、和食の中の小さな食材学をお楽しみください。
いわしの天ぷら
ごぼうの金平
ほうれん草としめじの胡麻和え
白ご飯
赤だし
大根葉漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
いわしは近い参考として「まいわし/生」の数値を掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|---|---|
| いわし | まいわし/生 | 水分68.9g、たんぱく質19.2g、脂質9.2g、カルシウム74mg、鉄2.1mg、ビタミンD 32.0μg、ビタミンB12 16.0μg |
| かぼちゃ | 西洋かぼちゃ/果実/生 | 水分76.2g、たんぱく質1.9g、脂質0.3g、炭水化物20.6g、食物繊維総量3.5g |
| 獅子唐 | ししとう/果実/生 | 水分91.4g、たんぱく質1.9g、脂質0.3g、食物繊維総量3.6g、カリウム340mg、β-カロテン当量530μg |
| ごぼう | ごぼう/根/生 | 水分81.7g、たんぱく質1.8g、脂質0.1g、食物繊維総量5.7g、カリウム320mg |
| ほうれん草 | ほうれんそう/葉/通年平均/生 | 水分92.4g、たんぱく質2.2g、脂質0.4g、食物繊維総量2.8g、カリウム690mg、β-カロテン当量4200μg |
| あたり胡麻 | ごま/ねり | たんぱく質19.0g、脂質61.0g、食物繊維総量11.2g、カルシウム590mg、鉄5.8mg |
| しめじ | ぶなしめじ/生 | 水分91.1g、たんぱく質2.7g、脂質0.5g、食物繊維総量3.0g、カリウム370mg、ビタミンD 0.5μg |
いわしは、たんぱく質と脂質を含む魚です。
ビタミンDやビタミンB12も含み、青魚らしい脂質の質とあわせて見ると、食材としての個性が見えてきます。
かぼちゃ、茄子、玉ねぎ、獅子唐、大葉は、天ぷらにするとそれぞれ水分や香りの出方が変わります。
かぼちゃはほくっとした甘み、獅子唐や大葉は青い香りが出やすい食材です。
ごぼうは食物繊維を含み、歯ざわりのある根菜です。
金平にすると、ごま油の香り、唐辛子の辛味、甘辛い調味が重なります。
ほうれん草としめじの胡麻和えは、青菜の水分、きのこの香り、あたり胡麻の脂質と香ばしさがまとまる副菜です。
いわしの天ぷらで見る、青魚の脂質と薄衣の働き
いわしの天ぷらで掘り下げたいのは、青魚であるいわしの脂質と、天ぷら衣が熱を受け止める働きです。
いわしは、焼き魚や煮魚でも親しまれる魚ですが、天ぷらにすると少し印象が変わります。
青魚らしい香り、身のやわらかさ、脂質のある口当たり。
そこへ薄い衣の軽さと、天つゆのだしが重なることで、いわしの見え方が変わってきます。
今回のいわしは、手開きして丁寧に下処理したものを天ぷらにしています。
いわしは身がやわらかく、包丁を使わずに手で開くこともできる魚です。
ちなみに「いわし」という名前は、傷みやすく弱い魚を意味する「弱し(よわし)」に由来すると言われています。
身がやわらかく鮮度が落ちやすいという、いわしらしさがそのまま名前になったような魚です。
この手で開けるほどのやわらかさは、扱いやすさであると同時に、繊細さでもあります。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「まいわし/生」の可食部100gあたり、水分68.9g、たんぱく質19.2g、脂質9.2gとされています。
さらに、カルシウム74mg、鉄2.1mg、ビタミンD 32.0μg、ビタミンB12 16.0μgも含まれています。
実際の成分は魚の大きさや季節、部位によって変わりますが、いわしを栄養学の面から眺めるときの手がかりになります。
いわしは、脂質を含みながら、身そのものもやわらかい魚です。
この二つは、それぞれ別の理由から来ています。
身のやわらかさは、いわしの筋肉のきめ細かさや、繊維を束ねる組織の繊細さによるものです。
一方、脂質は、口当たりのなめらかさや香りの広がりに関わります。
EPAやDHAという名前で語られる脂肪酸も、いわしのような青魚を考えるときによく出てくる成分です。
栄養学や食品科学の分野で長く注目されてきた成分ですが、料理の中ではまず、魚らしい口当たりや香りを読み解く手がかりとして見ると自然です。
天ぷらの衣は、揚げ物の中でも薄さと軽さが大切です。
フライのようにパン粉でしっかり覆うのではなく、小麦粉と水分を中心にした衣が、食材の表面に薄くつきます。
この衣には、面白い役割があります。
油の中で先に熱を受け止め、衣の水分を飛ばしながら、内側のいわしにゆっくり火を入れていくのです。
いわしの身を直接強く焼きつけるのではなく、衣が薄い殻となって、魚を内側で守りながら火を通します。
衣の軽さには、水分と油の入れ替わりが関わっています。
油の中では、衣に含まれる水分が水蒸気になって抜けていき、その抜けたあとに少量の油が入り、空いた隙間が残ります。
この隙間が、口に入れたときのさくっとした歯切れを作ります。
薄い衣だからこそ、いわしの身のやわらかさや香りが隠れすぎず、揚げ物でありながら素材の輪郭が残ります。
ここで大切なのは、揚げすぎないことです。
いわしは火が入りすぎると水分が抜け、せっかくのしっとりした身が締まってしまいます。
衣を軽く仕上げ、香りと脂質を内側に残すことで、天ぷらとしてのバランスが作られます。
手開きして下処理すること、薄い衣をまとわせること、油の熱で短時間に火を入れること。
それぞれの工程が、いわしの青魚らしい香りを強く出しすぎず、整える小さな仕事をしています。
天つゆも、いわしの天ぷらでは大切です。
だし、醤油、みりんで仕立てた天つゆは、衣にしみ込みすぎると重くなりますが、少しなじむことで魚の脂質や香りに丸みを添えます。
だしのうま味、醤油の塩味、みりんの甘み。
この三つが、いわしの青魚らしい風味を受け止めます。
一緒に揚げるかぼちゃ、茄子、玉ねぎ、獅子唐、大葉は、それぞれ違う方向から天ぷらの表情を作ります。
かぼちゃは水分と炭水化物を含み、加熱するとほくっとした甘みが出やすくなります。
茄子は水分を多く含み、油と出会うことで、とろりとした口当たりに近づきます。
玉ねぎは加熱によって辛味の印象がやわらぎ、甘みを感じやすくなります。
獅子唐は青い香りと軽い苦みを持ち、油で揚げることで香りの角が少しやわらぎます。
大葉は、揚げても香りの印象が残りやすく、いわしの脂質に対して清涼感を添えます。
この組み合わせを見ると、いわしの天ぷらは単に魚を揚げただけの料理ではありません。
青魚の脂質、薄い衣の水分変化、天つゆのだし、かぼちゃの甘み、茄子の油とのなじみ、玉ねぎの甘み、獅子唐と大葉の青い香り。
それぞれが別の角度から、いわしの存在感を支えています。
栄養学の面では、いわしはたんぱく質、脂質、ビタミンD、ビタミンB12などを含む魚です。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の形成に関わる栄養素です。
ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
こうした成分は、いわしを栄養学の面から見るときの入り口になります。
いわしは、日常の魚という印象が強い食材かもしれません。
けれど天ぷらにすると、身のやわらかさ、脂質、香り、衣の軽さが一度に見えてきます。
親しみやすい魚ほど、調理法を変えると表情がよく変わります。
今日のいわしの天ぷらを、そんな青魚の脂質、薄衣の働き、だしとのなじみ方とともに楽しんでいただければと思います。
【用語メモ】
・脂質:水に溶けにくく、油になじみやすい成分の総称です。魚の口当たりや味の余韻にも関わります。
・EPA、DHA:魚の脂に含まれる脂肪酸の仲間です。青魚を栄養学の面から見るときによく登場します。
・たんぱく質変性:熱などによって、たんぱく質の形や性質が変わることです。魚の身の色や食感が変わるときにも関わります。
・水分移動:加熱や調味によって、食材の中や表面の水分が動くことです。天ぷら衣から水分が抜け、軽くなる変化にも関わります。

