赤魚の煮物
ほうれん草の胡麻和え
山芋まんじゅう
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
赤魚は流通名として幅があるため、近い参考として「あこうだい/生」の数値を掲載しています。
山芋は、近い参考として「ながいも/塊根/生」の数値を掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 赤魚 | あこうだい/生 | 水分79.8g、たんぱく質16.8g、脂質2.3g、カリウム310mg |
| ほうれん草 | ほうれんそう/葉/通年平均/ゆで | β-カロテン当量5400μg、ビタミンK、葉酸、カリウムなどを含む |
| 胡麻 | ごま/いり | 脂質、たんぱく質、カルシウム、鉄などを含む |
| 山芋 | ながいも/塊根/生 | 水分82.6g、炭水化物13.9g、食物繊維総量1.0g、カリウム430mg |
赤魚は、たんぱく質を含み、脂質は比較的控えめな白身魚系の食材として見ることができます。
煮物にすると、身の水分とたんぱく質の変化に、煮汁の香りが重なります。
ほうれん草は、β-カロテンやビタミンKなどを含む緑黄色野菜です。
胡麻と合わせることで、青菜の風味に、種実類らしい香ばしさと脂質のまろやかさが加わります。
山芋は水分を多く含み、炭水化物やカリウムも含むいも類です。
まんじゅう仕立てにすると、すりおろした時の粘りと、加熱によるまとまりが料理の表情を作ります。
山芋まんじゅうに見る、ねばりと加熱によるまとまり方
山芋まんじゅうで掘り下げたいのは、山芋の「ねばり」と、加熱によって生まれるまとまりです。
山芋は、すりおろすと独特の粘りが出る食材です。
この粘りは、食感として分かりやすいだけでなく、料理の形を作るうえでも大切な役割を持っています。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「ながいも/塊根/生」の可食部100gあたり、水分82.6g、たんぱく質2.2g、脂質0.3g、炭水化物13.9g、食物繊維総量1.0g、カリウム430mgとされています。
山芋は水分を多く含みながら、炭水化物やカリウムも含むいも類です。
山芋の面白さは、すりおろしたときに生まれる粘りにあります。
じゃがいもの「ほくほく」とは異なり、なめらかさとだしや調味料を抱え込むような質感が特徴です。
山芋の粘りは、粘質多糖類とたんぱく質が結びついた成分によるものとされています。
「ムチン」という名前で紹介されることもありますが、本来ムチンは動物の粘液成分を指す言葉であり、山芋の粘り成分とは厳密には異なります。
ここでは効能を語るよりも、この粘質物が料理の中でどう働くかに注目します。
山芋の粘質物は水分を抱え込む性質を持ち、すりおろしたときのとろみやまとまりを生みます。
山芋まんじゅうでは、山芋に片栗粉とゼラチンを合わせています。
片栗粉は主にでんぷんを含む食材です。
でんぷんは、水と熱を受けることで糊化します。
糊化とは、でんぷん粒が水を吸ってふくらみ、粘りやとろみを持つ状態へ変わることです。
山芋そのものの粘りに、片栗粉のでんぷんが加わることで、加熱したときのまとまりが出やすくなります。
さらにゼラチンは、温度によって状態が変わるたんぱく質系の素材です。
冷えると固まりやすく、温まるとやわらかくなる性質を持ち、山芋のやわらかい生地に少し骨格を添えます。
この組み合わせが面白いところです。
山芋は水分を多く含み、粘りで全体をつなぎます。
片栗粉は加熱によってとろみと弾力を補い、ゼラチンはなめらかなまとまりを助けます。
揚げ物にすると、表面では水分が抜け、外側が少し締まります。
内側では山芋の水分と粘りが残り、外と中で食感の差が生まれます。
この差が、山芋まんじゅうらしい口当たりの面白さにつながります。
だし、醤油、みりん、酒の味付けも、山芋の性質とよく合います。
山芋は味の主張が強すぎないため、だしの香りや醤油の塩味を受け止めやすい食材です。
そこへ揚げた表面の香ばしさが加わることで、淡い食材に立体感が出ます。
栄養学の面から見ると、山芋は炭水化物とカリウムを含むいも類です。
カリウムは、体内の水分バランスに関わるミネラルとして知られています。
ここでは健康効果を大きく語るのではなく、山芋を栄養学の面から眺めるときの手がかりとして見ておくとよいでしょう。
山芋まんじゅうは、山芋の粘り、片栗粉のでんぷん、ゼラチンのまとまり、揚げることで起こる水分変化が重なった料理です。
やわらかい素材を、ただ固めるのではなく、ねばりと熱で形にしていくところに、この料理の面白さがあります。
山芋は、とろろのように生に近い形で味わうこともできますが、まんじゅう仕立てにすると、粘りが「形を作る力」として表に出てきます。
今日の山芋まんじゅうを、そんな食材の変化とともに楽しんでいただければと思います。