鱈の野菜あんかけ
きゅうりとタコの酢の物
昆布と大豆の煮もの
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 鱈 | まだら/生 | たんぱく質17.6g、水分80.9g、脂質0.2g、ビタミンB12 1.3μg |
| きゅうり | きゅうり/果実/生 | 水分95.4g、食物繊維総量1.1g、カリウム200mg |
| タコ | まだこ/ゆで | たんぱく質21.7g、脂質0.7g、ビタミンB12 1.2μg |
| 大豆 | 黄大豆/国産/ゆで | たんぱく質14.8g、脂質9.8g、食物繊維総量8.5g |
| 昆布 | まこんぶ/素干し/乾 | 食物繊維総量32.1g、カリウム6100mg、カルシウム780mg、ヨウ素200000μg |
鱈は、水分を多く含み、たんぱく質を含む白身魚です。
脂質が比較的少ない魚として扱われることが多く、出汁やあんの風味を受け止めやすい食材です。
きゅうりは水分の多い野菜で、酢の物にするとみずみずしい食感が活きます。
タコはたんぱく質を含み、しっかりした歯ごたえが献立の中でアクセントになります。
大豆は、たんぱく質、脂質、食物繊維を含む豆類です。
昆布は食物繊維やミネラルを多く含む食材として知られていますが、乾物の数値は水戻しや調理後とは大きく異なります。
本日の献立は、魚、野菜、海藻、豆類を少しずつ取り入れた組み合わせです。
栄養の話はあくまで食材を知る手がかりとして、日々の食事の楽しみに添えていただければと思います。
鱈の白身は、なぜ「あん」とよくなじむのか
今日の深掘りテーマは、鱈です。
鱈は白身魚のひとつで、淡い味わいと水分の多さが特徴として見られます。
文部科学省「食品成分データベース」では、「まだら/生」可食部100gあたり、水分80.9g、たんぱく質17.6g、脂質0.2gとされています。
この数字を見ると、鱈は水分を多く含み、脂質は控えめな魚であることが分かります。
料理として見ると、この性質はとても大切です。
脂の強い魚が自分の風味で前に出るのに対して、鱈のような白身魚は、出汁、醤油、みりん、酒といった調味の香りを受け止めやすい素材です。
鱈を加熱すると、身の中のたんぱく質が変化します。
この変化を「タンパク質変性」といいます。
タンパク質変性とは、熱などによってたんぱく質の形や性質が変わることです。
魚の身は、加熱によって透明感のある状態から白く不透明になり、身が締まっていきます。
これは、筋肉をつくるたんぱく質が熱を受けて構造を変えるためです。
ただし、加熱が強すぎると水分が外へ出やすくなり、身が締まりすぎた印象になります。
ここで面白いのが「あんかけ」です。
あんは、出汁や調味料にとろみをつけたもので、さらりとした汁よりも食材の表面に留まりやすい性質があります。
つまり、鱈の身のまわりに出汁の香りや醤油の風味をまとわせる役割をしてくれます。
鱈を揚げてからあんをかけると、さらに構造が少し複雑になります。
表面には衣があり、その内側に鱈の身があります。
衣はあんを受け止める層になり、鱈の淡い身と、出汁を含んだあんとの間をつなぐように働きます。
あんの中に入る玉ねぎ、椎茸、えのき、三つ葉も、それぞれ香りの方向が違います。
玉ねぎは加熱によって甘い印象が出やすく、椎茸やえのきはきのこらしいうま味と香りを添えます。
三つ葉は、最後に青い香りを加える役割があります。
鱈そのものは、強く主張する食材ではありません。
けれど、水分が多く、脂が穏やかで、たんぱく質が熱で変化しやすいからこそ、あんの香りやうま味を受け止める余白があります。
鱈の野菜あんかけは、魚の味を強く押し出す料理というより、白身魚の淡さ、衣の受け止め方、出汁のとろみ、野菜ときのこの香りが重なる料理です。
静かな一皿の中に、熱、水分、たんぱく質、香りの小さな駆け引きがあります。