鶏肉の甘酢あんかけ
ひじきと蓮根のサラダ
小松菜としめじのおひたし
白ご飯
赤だし
高菜漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 鶏もも肉 | たんぱく質、脂質を含みます |
| パプリカ・ピーマン | ビタミンCを含む野菜として知られています |
| にんじん | β-カロテンを含みます |
| ひじき | 食物繊維やミネラルを含む海藻です |
| 蓮根 | でんぷんやビタミンCを含みます |
| 小松菜 | カルシウムや鉄などのミネラルを含みます |
| しめじ・えのき | 食物繊維を含むきのこです |
酢に含まれる酢酸は、料理の味の輪郭を作る成分として知られています。加熱で香りや酸味の印象が変わる点も、甘酢あんの面白いところです。
甘酢あんの酢はなぜまろやかになる?酢酸の揮発と、揚げ衣が受け止める酸味
甘酢あんの主役は、なんといっても酢です。今回は黒酢と米酢を合わせていますが、そもそもお酢の酸っぱさの正体は「酢酸」という成分。ツンとくる香りの多くも、この酢酸によるものです。
面白いのは、酢を加熱すると酸味の印象がやわらぐこと。酢酸はわりと揮発しやすい成分で、火にかけて温めると一部が空気中へ飛んでいきます。あんを煮からめている最中にふわっと酸っぱい香りが立ちのぼるのは、まさに酢酸が揮発しているサイン。結果として、口に入れたときの酸味は生の酢よりも角がとれて、まろやかな甘酸っぱさに落ち着きます。だから甘酢あんは「酢そのものより優しい酸味」に感じられるんですね。
さらに砂糖と醤油が加わることで、味の組み立てが立体的になります。砂糖の甘み、醤油の塩味とうま味、そこに酢酸の酸味。この三つがそろうと、舌の上で味が押し合いへし合いしながらバランスを取り、揚げ物の脂っぽさをすっきり受け止めてくれます。
そして揚げた鶏もも肉の衣も、実はいい仕事をしています。カラッと揚がった衣は表面に細かな凹凸があり、そこにとろりとしたあんが引っかかって、酸味と甘みをまんべんなくまとってくれます。時間が経つと衣があんの水分を吸って少しずつしっとり変化していくのも、揚げ物×あんならではの表情です。
ここで黒酢についてひとつ。黒酢のあの濃い褐色は、長期間熟成させる間に、原料のアミノ酸と糖がゆっくり反応して色づいたもので、これはメイラード反応の一種と考えられています。焼き色や香ばしさを生むあの反応が、加熱ではなく「時間をかけて」進んでいる、というわけです。黒酢に独特のコクと深い香りがあるのは、この長い熟成の積み重ねが背景にあります。
ちなみに「お酢を飲むと体がやわらかくなる」なんて話を聞いたことがあるかもしれませんが、あれは酢酸が骨や関節を柔らかくするわけではありません。魚を酢で煮ると小骨まで食べやすくなる様子から生まれたイメージ、という説もあります。体は柔らかくなりませんが、甘酢あんのおかげで献立全体の後味は、確かにやわらかく仕上がっています。
【用語メモ】
・酢酸:酢の酸味と香りのもとになる成分。揮発しやすく、加熱で酸味の印象が変わる。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が反応して褐色や香ばしい香りを生む反応。黒酢では熟成の過程でも進む。
・揮発:液体の成分が気体になって空気中へ出ていくこと。