いわしフライ
ほうれん草の胡麻和え
筑前煮
白ご飯
赤だし
高菜漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 鰯 | たんぱく質・n-3系脂肪酸(EPA・DHAなど) 青魚に多く含まれる脂肪酸として知られています |
| ほうれん草 | 鉄・葉酸・ビタミンC 緑黄色野菜に含まれる成分を含みます |
| 胡麻 | 脂質・カルシウム・ゴマリグナン 香ばしさと栄養を兼ねる種実類です |
| ごぼう | 食物繊維(イヌリンなど) 根菜らしい歯ごたえを支えます |
| 鶏肉 | たんぱく質 身体づくりに関わる栄養素として知られています |
※成分は一般的な傾向です。数値は文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」などを目安にしています。
いわしフライの香ばしさを支える、青魚の脂とEPA・DHAの話
いわしを開いてフライにすると、身の内側はしっとり、外側の衣はサクッと。この気持ちのいい食感の裏側で、実はいわしの「脂」がなかなか面白い仕事をしています。
青魚の脂には、EPAやDHAと呼ばれるn-3系脂肪酸が多めに含まれています。これらは常温でも固まりにくい、いわゆる「サラサラした脂」のタイプで、いわしを口にしたときのふわっとした軽さや、独特のコクの背景にもなっています。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」でも、まいわし(生・100gあたり)は脂質を比較的多く含む魚として掲載されていて、青魚らしい滋味はこの脂の量と質から生まれていると言えます。
このEPA・DHAが栄養学の世界で大きく注目されるきっかけの一つに、グリーンランドに暮らすイヌイットの食生活を調べた研究があります。魚やアザラシなど海の恵みを多く食べる人々の血液成分を、デンマークのダイアベルグらが調査したという有名な話で、青魚の脂への関心が一気に高まりました。いわし一匹の背後に、極北の研究者たちのフィールドワークが控えていると思うと、フライにかじりつく手つきも少し丁寧になりそうです。
この脂、ひとつ扱いに注意が必要です。サラサラで魅力的な反面、酸化しやすいという弱点も抱えています。だからこそ、揚げるという調理は理にかなっています。衣が水分の蒸発とともに軽く色づき、香ばしい香りをまとうのは、糖とアミノ酸が加熱で反応するメイラード反応によるもの。この香りの層が、いわしの脂を外側からふわりと包み込み、青魚特有の風味を上品な方向へ整えてくれます。塩と胡椒だけのシンプルな味付けなのに満足感があるのは、脂のコクと衣の香ばしさがきちんと噛み合っているからなんですね。
ちなみに、いわしは漢字で「鰯」と書き、魚へんに弱いと組み合わせます。傷みやすく足の早い魚だったことに由来すると言われますが、その繊細さこそが、あの上品な脂の証でもあります。弱いと書いて、味は堂々。なかなか粋な魚です。
【用語メモ】
・n-3系脂肪酸:EPAやDHAなどを含む脂肪酸のグループ。青魚に多く、常温で固まりにくい性質があります。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱で反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。
・脂質の酸化:脂が空気や時間の経過で変化すること。青魚の脂は比較的酸化しやすいとされます。