鯖の竜田揚げ(カレーソース)
きゅうりとタコの酢の物
茄子の煮びたし
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| さば | たんぱく質、脂質(EPA・DHAなどの脂肪酸を含みます) |
| タコ | たんぱく質、タウリンを含みます |
| きゅうり・わかめ | 水分が多く、わかめはミネラルや食物繊維を含みます |
| 茄子 | 皮の色素(ナスニン)を含み、水分が多い野菜です |
揚げ物には油由来の脂質が加わり、酢の物や煮びたしはさっぱりとした構成になっています。全体としてバランスを取りやすい献立です。
鯖の竜田揚げに宿る、脂ののりと香ばしさの正体
鯖といえば「青魚」の顔ぶれで真っ先に名前が挙がる魚ですが、その魅力の中心にあるのが脂です。さばの脂質には、EPAやDHAと呼ばれる脂肪酸が含まれています。これらは常温でも固まりにくい性質を持つ脂で、栄養学の分野でも古くから注目されてきた成分です。魚を握った時にひんやり感じるのに脂がしっとりまとわりつくのは、この固まりにくさが背景にあります。
さばは水揚げ後、時間の経過とともにうま味成分であるイノシン酸が増えていきます。とれたてよりも少し置いた方がうま味が深まる、というのはここに理由があるんですね。ただし鮮度の管理はとても大事で、扱いが難しい魚でもあります。「さばの生き腐れ」という言葉があるくらいで、見た目より足が速い魚として料理人からは一目置かれる存在です。
竜田揚げにすると、この鯖に香ばしさが加わります。表面が高温にさらされると、身の中のアミノ酸と、下味や衣に含まれる糖がメイラード反応を起こし、こんがりとした色と香りが立ち上がります。揚げるという工程は、水分を飛ばしながら香りを凝縮させる作業でもあり、外はカラッと、中はふっくらという対比が生まれます。
そこへカレーソースを重ねると、また別の香りが加わります。カレー粉はさまざまな香辛料の集まりで、その香り成分は油になじみやすい性質を持つものが多く、バターの脂と手をつなぐようになじみます。青魚特有の香りをカレーの香りがやわらかく包み、輪郭を添えてくれるわけです。
カレーの黄色を担うターメリック(ウコン)の色素クルクミンは、水にはほとんど溶けませんが、油には溶けやすい性質があります。つまりバターを使ったこのソースは、色と香りの両面でカレー粉と相性が良い組み立てになっている、というちょっと理にかなった一皿なのです。
ちなみに鯖は英語で「mackerel」ですが、この語源には諸説あり、はっきりしていません。世界を回遊する魚のわりに、自分の名前の由来については意外と口が固いようです。
【用語メモ】
・EPA・DHA:魚の脂に含まれる脂肪酸の一種で、常温でも固まりにくい性質を持ちます。
・イノシン酸:うま味成分のひとつで、魚や肉に含まれます。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱によって反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。
・クルクミン:ターメリックに含まれる黄色い色素で、油になじみやすい性質があります。