鰤の刺身
水菜と油揚げの煮物
鶏の唐揚げ
白ご飯
赤だし
高菜漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 鰤 | たんぱく質、脂質(EPA・DHAなどの脂肪酸)、ビタミンD 青魚らしい脂を含む魚として知られています |
| 水菜 | ビタミンC、カリウム、食物繊維 緑黄色野菜に分類される葉物です |
| 油揚げ(ひりょうず) | 植物性たんぱく質、脂質 大豆加工品ならではのコクがあります |
| 鶏もも肉 | たんぱく質、鉄 からだをつくる材料となる栄養素を含みます |
| 赤だし(豆みそ) | アミノ酸系のうま味成分 発酵由来のうま味が特徴です |
※成分は一般的な傾向です。鰤の脂肪酸については、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の魚介類の項目などが参考になります。
鰤の刺身に乗る脂は、どこから来て、なぜ季節で変わるのか
鰤といえば「寒鰤」という言葉があるくらい、秋から冬にかけて脂が気になる魚です。この脂、ただの余計なものではなくて、鰤が冷たい海を回遊しながら蓄えたエネルギーの貯金のようなもの。水温が下がる季節に向けて体に脂肪をためこむので、同じ鰤でも時期によって口に入れたときの「とろけ具合」がずいぶん変わります。刺身で食べると、舌の上で脂がすっとほどけていく感覚がありますよね。あれは脂質が体温に近い温度でやわらかくなるからで、青魚の脂に多く含まれるEPAやDHAといった脂肪酸は、常温でも固まりにくい性質を持っています。だからこそ、冷たいお刺身でもねっとりと舌になじむわけです。
そして鰤のうま味の正体のひとつが、イノシン酸といううま味成分。これは水揚げ後、時間の経過とともに、筋肉の中のATP(エネルギーの貯蔵物質)が段階的に分解されていくことで増えていきます。つまり、獲れたてよりも少し置いたほうがうま味がのってくる、というのは理屈があるんですね。板前が魚を「寝かせる」のには、こういう背景があります。
鰤は成長するにつれて呼び名が変わる「出世魚」として有名ですが、この呼び名、実は地域によってかなりバラバラです。関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」、関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」。同じ魚なのに、育った土地が違うだけで別人のような名前を背負わされているわけで、鰤本人(本魚?)からすると、なかなかややこしい人生です。ちなみに養殖で広く流通する「ハマチ」は、もともと関西での中間サイズの呼び名が商品名として全国に広まったもの。関東の人が「ハマチ」と「ブリ」を別の魚だと思っていた、なんて話もあるくらいです。
栄養の面から眺めると、鰤はたんぱく質に加えてビタミンDを含む魚としても知られています。ビタミンDはカルシウムの吸収に関わる栄養素として注目されていて、魚の脂に溶け込んでいるタイプの成分です。脂がのっている時期の鰤は、味の満足感だけでなく、こうした脂溶性の成分を抱えているという点でも面白い食材と言えます。味や香り、舌ざわりといった「おいしさ」の裏側に、脂肪酸やうま味成分、季節ごとの体づくりまでつながっていると思うと、一切れのお刺身もちょっと見方が変わってきますね。
【用語メモ】
・EPA・DHA:魚の脂に多い脂肪酸の仲間。常温でも固まりにくい性質があります。
・イノシン酸:魚や肉のうま味に関わる成分。時間の経過とともに増えていきます。
・ATP:生き物が持つエネルギーの貯蔵物質。分解されてうま味成分へ変わっていきます。
・ビタミンD:カルシウムの吸収に関わる栄養素として知られる、脂に溶けやすい成分。