鶏肉のトマト煮
ひじきの煮物
小松菜とじゃこの炒め物
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
鶏肉は部位未指定のため、参考として「若どり・もも・皮つき・生」の数値を掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 鶏肉 | 若どり・もも・皮つき・生 | 水分68.5g、たんぱく質16.6g、脂質14.2g、ビタミンB6 0.25mg |
| トマト缶 | トマト類・加工品・ホール・食塩無添加 | 水分93.3g、食物繊維総量1.3g、カリウム240mg、β-カロテン当量570μg |
| ひじき | ほしひじき・ステンレス釜・ゆで | 水分94.5g、食物繊維総量3.7g、カルシウム96mg、ヨウ素960μg |
| 大豆 | 黄大豆・国産・ゆで | たんぱく質14.8g、脂質9.8g、食物繊維総量8.5g、鉄2.2mg |
| 小松菜 | こまつな・葉・生 | 食物繊維総量1.9g、カルシウム170mg、鉄2.8mg、β-カロテン当量3100μg |
鶏肉は、たんぱく質と脂質を含む食材です。
煮物にすると、加熱によるたんぱく質の変化と、煮汁の風味が重なります。
トマト缶は水分を多く含み、酸味や赤い色合いが特徴です。
トマトの赤い色には、カロテノイドの一種であるリコピンが関わることで知られています。
ひじきは、食物繊維やミネラルを含む海藻です。
製法や戻し方、調理後の状態によって成分量は変わるため、数値はあくまで食材を知る目安としてご覧ください。
大豆は、たんぱく質、脂質、食物繊維を含む豆類です。
ひじきの煮物に加えることで、やわらかな食感と豆らしい風味が添わります。
小松菜は、カルシウム、鉄、β-カロテンなどを含む青菜です。
じゃこや胡麻と合わせることで、青菜の香りに小魚と胡麻の風味が重なります。
トマト煮に起こる酸味・うま味・タンパク質変性の重なり
鶏肉のトマト煮で注目したいのは、トマト缶が持つ酸味とうま味、そして鶏肉の加熱変化です。
煮込み料理はゆっくり味を含ませる料理に見えますが、中では水分、酸、たんぱく質、香りの成分が少しずつ関わり合っています。
文部科学省「食品成分データベース」では、「トマト類・加工品・ホール・食塩無添加」可食部100gあたり、水分93.3g、食物繊維総量1.3g、カリウム240mg、β-カロテン当量570μgとされています。
トマト缶は水分を多く含みながら、果肉の繊維や酸味、赤い色合いを持つ食材です。
トマトの赤い色には、リコピンというカロテノイド色素が関わります。
カロテノイドとは、赤、橙、黄色などの色に関わる色素成分の仲間です。
ここでは健康効果としてではなく、トマト煮の見た目と食材らしさを作る成分として見ると分かりやすいと思います。
トマト煮の味の土台になるのは、酸味とうま味です。
トマトには、酸味を感じさせる有機酸や、うま味に関わるアミノ酸が含まれます。
有機酸とは、食品に含まれる酸味成分の仲間です。
トマトらしい軽い酸味は、鶏肉の脂や玉ねぎの甘みに輪郭を与えます。
一方、鶏肉では加熱によってタンパク質変性が起こります。
タンパク質変性とは、熱などによってタンパク質の形や性質が変わることです。
鶏肉に火が入ると、筋肉をつくるたんぱく質の構造が変わり、身の締まり方や水分の保たれ方が変化します。
ここで煮込みの温度と時間が関わってきます。
加熱が進むと、鶏肉のたんぱく質は少しずつ締まり、内部の水分が外へ動きやすくなります。
その一方で、煮汁の中にあるトマトの酸味、コンソメのうま味、玉ねぎの甘みが肉の表面にまとわり、口に入れた時の印象を作ります。
トマト煮は、鶏肉そのものにすべての味をしみ込ませるというより、肉の加熱変化と煮汁の濃度が合わさって、ひとつの料理としてまとまっていきます。
煮ている間に水分が少しずつ飛ぶと、トマトの酸味とうま味、玉ねぎの甘みが濃く感じられます。
砂糖は酸味の角をやわらげ、塩は味の輪郭を整えます。
コンソメは、トマトと鶏肉の間をつなぐ調味の土台になります。
うま味は単独で強く主張するというより、酸味や塩味、甘みと重なることで、料理全体の奥行きに関わります。
トマトの酸味だけでは軽く感じるところに、コンソメのうま味が加わることで、煮込みらしいまとまりが生まれます。
オレガノは香りの面で大きな役割を持ちます。
ハーブの香りは、揮発性成分によって感じられます。
揮発性とは、温度が上がると空気中に広がりやすい性質のことです。
煮込みの温かさによってオレガノの香りが立ち、トマトの酸味に少し乾いた草のような香りを添えます。
玉ねぎも、静かに働いています。
加熱によって辛味の印象がやわらぎ、甘みを感じやすくなります。
トマトの酸味、鶏肉のうま味、玉ねぎの甘み、オレガノの香りが重なることで、同じ煮物でも和の煮物とは違う、洋風の落ち着いた表情になります。
鶏肉のトマト煮は、強い香辛料で押す料理ではありません。
トマトの水分と酸味、鶏肉のタンパク質変性、玉ねぎの甘み、コンソメのうま味、オレガノの揮発性の香りが、煮るという時間の中で少しずつ重なっていきます。
一皿の中に、酸、うま味、熱、香りの小さな設計があります。
今日の鶏肉のトマト煮を、そんな食材の変化とともに楽しんでいただければと思います。