鱈の甘酢あんかけ
破竹と厚揚げの煮物
小松菜としめじのおひたし
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
破竹は食品成分表で完全一致する項目を確認できないため、近い参考として「たけのこ/若茎/ゆで」の数値を掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 鱈 | まだら/生 | 水分80.9g、たんぱく質17.6g、脂質0.2g |
| 破竹 | 参考:たけのこ/若茎/ゆで | 水分89.9g、たんぱく質3.5g、食物繊維総量3.3g、カリウム470mg |
| 厚揚げ | 生揚げ | 水分75.9g、たんぱく質10.7g、脂質11.3g、カルシウム240mg |
| 小松菜 | こまつな/葉/生 | 水分94.1g、食物繊維総量1.9g、カルシウム170mg、鉄2.8mg、β-カロテン当量3100μg |
| しめじ | ぶなしめじ/生 | 水分91.1g、たんぱく質2.7g、脂質0.5g |
鱈は、水分を多く含み、脂質が少ない白身魚として扱われることが多い食材です。
たんぱく質を含みながら、淡い風味を持つため、甘酢あんの酸味や野菜の香りを受け止めやすい魚です。
破竹は筍の仲間として、歯ざわりと食物繊維に注目したい食材です。
厚揚げは大豆由来のたんぱく質や脂質を含み、煮物の中でだしを含みやすい食材です。
小松菜は、カルシウム、鉄、β-カロテンなどを含む青菜です。
しめじは水分を多く含むきのこで、おひたしにするとだしの風味と合わせやすく、食感のアクセントになります。
鱈の甘酢あんかけに重なる、低脂質な白身魚と酢の酸味
鱈の甘酢あんかけで注目したいのは、鱈という白身魚の栄養的な性質と、黒酢・米酢が持つ酸味です。
鱈は味の主張が強すぎない魚ですが、成分として見ると、水分、たんぱく質、脂質のバランスに特徴があります。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「まだら/生」の可食部100gあたり、水分80.9g、たんぱく質17.6g、脂質0.2gとされています。
鱈は水分が多く、たんぱく質を含みながら、脂質が非常に少ない魚です。
たんぱく質は、魚の身の構造に関わる成分です。
鱈の身に火が入ると、たんぱく質変性が起こります。
たんぱく質変性とは、熱などによってたんぱく質の形や性質が変わることです。
加熱によって身は白く不透明になり、少しずつ締まりながら、ほぐれやすい食感へ近づいていきます。
鱈は脂質が少ないため、脂の強さで食べさせる魚というより、水分とたんぱく質のやわらかな印象が前に出やすい食材です。
そのため、甘酢あんのように酸味、甘み、醤油の風味を持つ調味と合わせると、魚の淡さとあんの輪郭が重なりやすくなります。
甘酢あんの中心になるのは、酢の酸味です。
酢の酸味には、主に酢酸が関わります。
酢酸は、酢らしい酸味を形づくる代表的な有機酸のひとつです。
有機酸とは、食品に含まれる酸味成分の仲間です。
黒酢と米酢は、どちらも酢酸を含む調味料ですが、香りや味の印象は少し異なります。
米酢は比較的すっきりした酸味を出しやすく、黒酢は穀物由来の熟成感やまろやかな香りを感じさせることがあります。
ここでは健康効果としてではなく、料理の香りと味の奥行きをつくる要素としてとらえると分かりやすいでしょう。
甘酢あんには、砂糖と醤油も加わります。
砂糖は酸味の角をやわらげ、醤油は塩味とうま味の輪郭を添えます。
酸味だけでは鋭く感じるところに、甘みと醤油の風味が重なることで、鱈の淡い身にまとまりが生まれます。
あんかけでは、野菜も重要な役割を担います。
玉ねぎは水分を多く含み、加熱によって辛味の印象がやわらぎます。
パプリカ、ピーマン、にんじんは色合いだけでなく、それぞれ香りや歯ざわりが異なります。
甘酢あんの中で、野菜の水分、香り、食感が、鱈のやわらかな身と対比になります。
栄養学の面から見ると、この主菜は、脂質の少ない鱈に、酢の酸味と野菜を合わせた組み立てです。
鱈はたんぱく質を含み、玉ねぎやパプリカ、ピーマン、にんじんは、野菜由来の水分、食物繊維、色素成分を含みます。
一品の中で、魚のたんぱく質と野菜の成分、酢の酸味が重なるところに面白さがあります。
副菜の破竹と厚揚げの煮物では、たけのこの仲間らしい食物繊維と、厚揚げの大豆由来のたんぱく質・脂質が重なります。
小松菜としめじのおひたしでは、青菜のミネラルやβ-カロテン、きのこの水分と食感が、だしと合わさります。
主菜が酸味を持つ一方で、副菜にはだしの穏やかな風味があり、献立全体に違った成分の表情が生まれます。
鱈の甘酢あんかけは、白身魚の低脂質な性質、加熱によるたんぱく質の変化、酢の酸味、野菜の水分と香りが重なる料理です。
食材の成分を見ていくと、甘酢あんが鱈に合う理由が少し見えてきます。
今日の一皿を、そんな食材の組み合わせとともに楽しんでいただければと思います。