鯖の塩焼き
かにの卵豆腐
米茄子の肉味噌炒め
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
鯖は種類未指定のため「まさば/生」、八丁味噌は近い参考として「豆みそ」の数値を掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 鯖 | まさば/生 | 水分62.1g、たんぱく質20.6g、脂質16.8g、ビタミンD 5.1μg、ビタミンB12 13.0μg |
| 玉子 | 鶏卵/全卵/生 | 水分75.0g、たんぱく質12.2g、脂質10.2g |
| 蟹 | ずわいがに/ゆで | 水分82.5g、たんぱく質15.0g、脂質0.6g |
| 枝豆 | えだまめ/ゆで | 水分72.1g、たんぱく質11.5g、脂質6.1g、食物繊維総量4.6g |
| 米茄子 | べいなす/果実/生 | 水分93.0g、たんぱく質1.1g、脂質0.1g、食物繊維総量2.4g |
| 豚挽肉 | ぶた/ひき肉/生 | 水分64.8g、たんぱく質17.7g、脂質17.2g |
| 味噌 | 豆みそ | 水分44.9g、たんぱく質17.2g、脂質10.5g、食物繊維総量6.5g |
鯖は、たんぱく質と脂質を含む魚です。
脂質は魚らしい口当たりや香りに関わり、焼き物にすると塩の風味と重なります。
かにの卵豆腐では、玉子のたんぱく質がだしの水分を抱えながら固まり、蟹の香りが加わります。
枝豆は、たんぱく質や食物繊維を含む豆類で、淡い色合いと豆らしい風味を添えます。
米茄子は水分を多く含む野菜です。
肉味噌と合わせることで、豚挽肉のたんぱく質や脂質、豆みそのうま味と重なり、野菜だけでは出にくい厚みが加わります。
鯖の塩焼きに見る、脂質とビタミンB12の食材学
鯖の塩焼きで掘り下げたいのは、鯖という魚が持つ脂質とビタミンB12です。
「青魚は身体に良い」とよく言われます。
少し大きなくくりの表現ですが、その背景には、青魚に含まれる脂質やビタミン類への関心があります。
ここでは効能を言い切るのではなく、鯖という食材を形づくる成分として、脂質とビタミンB12を見ていきます。
文部科学省「食品成分データベース」では、「まさば/生」可食部100gあたり、水分62.1g、たんぱく質20.6g、脂質16.8gとされています。
鯖は、たんぱく質をしっかり含みながら、脂質も比較的多く持つ魚です。
脂質とは、水に溶けにくく、油になじみやすい成分の総称です。
鯖の脂質には、EPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸が含まれることで知られています。
多価不飽和脂肪酸とは、分子の中に複数の二重結合を持つ脂肪酸の仲間です。
この脂肪酸は栄養学の分野でもよく取り上げられる成分ですが、料理として見ると、鯖らしい口当たりや焼いた時の香りにも一役買っています。
脂がある魚を焼くと、熱によって脂質がゆるみ、身の中から香りが立ち上がりやすくなります。
鯖の塩焼きで感じる濃い風味は、たんぱく質だけでなく、この脂質の存在感も背景にあります。
鯖には、ビタミンB12も多く含まれます。
食品成分データベースでは、「まさば/生」可食部100gあたり、ビタミンB12は13.0μgとされています。
ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素として知られています。
これは「鯖を食べれば何かが治る」という意味ではなく、鯖を栄養学の面から眺める時に、手がかりになる成分のひとつです。
また、鯖にはビタミンDも含まれます。
ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつです。
脂溶性とは、水よりも油になじみやすい性質のことです。
魚の脂質と一緒に見ていくと、鯖の栄養的な輪郭が少し立体的に見えてきます。
塩焼きでは、塩の働きも見逃せません。
塩は味をつけるだけでなく、魚の表面の水分を少し動かします。
この水分の動きには、浸透圧という考え方が関係します。
浸透圧とは、濃度の差によって水分の動き方が変わる現象を説明する言葉です。
塩をあてることで表面の水分が整い、焼いた時に味の輪郭が出やすくなります。
そこへ熱が入ると、身のたんぱく質はタンパク質変性を起こします。
タンパク質変性とは、熱などによってたんぱく質の形や性質が変わることです。
生の身は、加熱によって白っぽくなり、ほぐれやすい状態へ近づきます。
その横で脂質は温まり、口当たりや香りに厚みを添えます。
鯖の塩焼きは、見た目にはとても素朴な料理です。
けれど成分の面から見ると、脂質、ビタミンB12、塩による水分の動き、たんぱく質の変化が重なった一皿です。
塩だけで焼くからこそ、鯖そのものの個性が見えやすくなります。
今日の鯖の塩焼きを、そんな食材の小さな仕組みとともに楽しんでいただければと思います。