肉じゃが
揚げ出し豆腐
モヤシと竹輪と胡瓜の和え物
白ご飯
赤だし
高菜漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| 牛肉 | たんぱく質や鉄を含みます |
| じゃがいも | でんぷんのほか、ビタミンCを含む食材です |
| にんじん | β-カロテンを含みます |
| もめん豆腐 | 植物性たんぱく質を含む食材です |
| もやし | 水分が多く、ビタミンCなどを含みます |
じゃがいものビタミンCは、でんぷんに包まれることで加熱による損失が比較的おだやかと言われる栄養素として知られています。にんじんのβ-カロテンは油と一緒にとることで吸収されやすくなる成分で、今回の和え物のごま油や、煮物の牛肉の脂とも相性のよい組み合わせです。
肉じゃがに起こる、でんぷんの糊化と無水調理の水分のゆくえ
じゃがいもを噛んだときの、あのほくほく感。あれは主にでんぷんの糊化(こか)という変化が背景にあります。生のじゃがいものでんぷんは、粒がぎゅっと締まった結晶に近い状態で並んでいて、水と一緒に加熱されると、その粒が水を吸い込みながらふくらみ、やわらかくほどけていきます。この時に「ほくほく」の口当たりが生まれるわけです。糊化がしっかり進む温度はおおよそ60〜70℃あたりからと言われていて、煮物の火加減はちょうどこの変化を後押しする温度帯を通っていきます。
おもしろいのは、今回の無水調理では外から水を足していない点です。それでもじゃがいもがやわらかく仕上がるのは、玉ねぎやじゃがいも自身がたっぷり水分を抱えているから。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」を見ると、じゃがいも(塊茎・生・皮なし)は100gあたり水分がおよそ79.8g、玉ねぎ(りん茎・生)は約90.1gと、どちらも大部分が水です。鍋の中では、この抱え込まれた水がじわじわと出てきて、でんぷんの糊化に必要な水分を供給し、同時に醤油や砂糖のうまみを煮汁として溶かし込んでいきます。素材の水分が主役になる、静かな水分移動の物語です。
じゃがいもを冷蔵庫でしばらく冷やすと、でんぷんの一部が糖に変わって甘みが増すことがあります。これは低温にさらされたじゃがいもが、内部のでんぷんを分解して糖をため込む反応で、専門的には低温糖化と呼ばれます。ただしこの糖が多い状態のじゃがいもを高温で揚げたり焼いたりすると、糖とアミノ酸が結びつくメイラード反応が進みすぎて焦げやすくなるので、フライドポテト作りでは意外と悩みの種。煮物にする分にはやさしく甘みが乗る程度なので、あまり心配はいりません。
じゃがいもは英語で potato ですが、これはもともと別のイモであるサツマイモを指す言葉 batata が起源とされ、ジャガイモとサツマイモの名前が歴史の途中で入れ替わるように混ざったと言われています。今晩ほくほくの肉じゃがを食べながら、「実はこの子、名前をよそのイモから借りているらしい」と思うと、ちょっとだけ愛おしくなるかもしれません。味や香りとは別の角度から見ても、じゃがいもはなかなか話題の尽きない食材です。
【用語メモ】
・でんぷんの糊化:でんぷんが水と熱を受けて粒がふくらみ、やわらかくほどける変化。ほくほく感やとろみの背景になります。
・低温糖化:じゃがいもなどが低温に置かれた時、でんぷんの一部が糖に変わる反応。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱で結びつき、焼き色や香ばしい香りを生む反応。