炊き込みご飯
白ネギとわかめのぬた
鱈の唐揚げ
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| ごぼう | 食物繊維(イヌリンなど) 腸内環境の話題でよく登場する成分を含みます |
| 鶏もも肉 | たんぱく質、脂質 体づくりに関わる栄養素として知られています |
| 鱈 | 低脂質なたんぱく質 淡白でさっぱりとした白身魚です |
| わかめ | 食物繊維、ミネラル ヨウ素などのミネラルを含みます |
| あさり・いか | たんぱく質、タウリンなど うま味成分としても注目される成分を含みます |
※数値ではなく、一般的に含まれる成分を整理したものです。
炊き込みご飯のごぼうが放つ「土の香り」と、切った瞬間に始まる小さな変化
炊き込みご飯の主役級の名脇役、ごぼう。あの独特の香りと、切ったそばから茶色く色づいていく様子には、けっこう真面目な理由があります。
まずごぼうの香りですが、これはジオスミンなどの香り成分によるものです。ジオスミンは「土っぽさ」を感じさせる成分で、雨上がりの土のにおいの正体としても知られています。ごぼうを食べて「大地を感じる」と言うと大げさですが、成分の面から見ると、あながち間違いでもないのがおもしろいところです。この香りがだしや醤油となじむと、炊き込みご飯全体に落ち着いた奥行きを添えてくれます。
そしてごぼうを切ると、断面がだんだん茶色くなりますよね。あれはクロロゲン酸などのポリフェノールが、ごぼう自身の持つ酵素と酸素に触れて変化する「酵素的褐変」という反応です。りんごの切り口が茶色くなるのと同じしくみで、水にさらすと色づきがゆるやかになります。ただ、さらしすぎると香り成分や水に溶けやすい成分まで逃げていくので、料理人はこのあたりの引き際をいつも見計らっています。ごぼうのアク抜きは、実は「引き算の加減」の勝負なんです。
ごぼうといえば食物繊維です。中でも、水に溶けやすいタイプの食物繊維であるイヌリンを含んでおり、腸内環境との関わりで研究が進められている成分として注目されています。「体にいい」と一言で片づけるより、こういう成分に光が当たっているんだ、と眺めると、ごぼうがぐっと立体的に見えてきます。
ごぼうを野菜として日常的に食べているのは、世界的に見るとかなり珍しいと言われています。ヨーロッパなどでは古くから薬草・ハーブとして扱われてきた歴史があり、「根っこを日常的に食べる」という感覚は、実はなかなかレアな食文化なんです。少し話はそれますが、マジックテープは、野生のごぼうの実(ひっつき虫)が服にくっつく仕組みからヒントを得て生まれたと言われています。炊き込みご飯を食べながら「これの親戚が、実は服にくっついてくるあいつなのか」と思うと、ちょっとだけ距離が縮まる…かどうかは、あなた次第です。
炊き込みご飯の中でごぼうは、香りの背景を作り、噛んだときの歯ざわりの表情を添え、だしのうま味を受け止める役割まで引き受けています。地味に見えて、実はかなりの働き者。次にごぼうを口にするときは、この土の香りの正体を思い出してもらえたら嬉しいです。
【用語メモ】
・酵素的褐変:野菜や果物が、自身の酵素と酸素に触れて茶色く変化する反応。
・ポリフェノール:植物に広く含まれる成分の総称で、色や渋みに関わることが多い。
・イヌリン:水に溶けやすいタイプの食物繊維のひとつ。