鰆の柚庵焼き
筑前煮
豆苗ともやしの炒め物
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| 鰆 | さわら/生 | 水分68.6g、たんぱく質20.1g、脂質9.7g、ビタミンD 7.0μg |
| 鶏肉 | 若どり・もも・皮つき・生 | 水分68.5g、たんぱく質16.6g、脂質14.2g |
| ごぼう | ごぼう/根/生 | 水分81.7g、食物繊維総量5.7g、カリウム320mg |
| 蒟蒻 | 板こんにゃく/精粉こんにゃく | 水分97.3g、食物繊維総量2.2g、カルシウム43mg |
| 豆苗 | トウミョウ/芽ばえ/生 | 水分92.2g、たんぱく質3.8g、食物繊維総量2.2g |
| もやし | りょくとうもやし/生 | 水分95.4g、たんぱく質1.8g、食物繊維総量1.3g |
鰆は、たんぱく質と脂質を含む魚です。
脂質は魚らしい口当たりや香りにも関わる成分です。
筑前煮に使う鶏肉は、たんぱく質と脂質を含む食材です。
ごぼうは食物繊維を含む根菜で、煮物の中に独特の香りと歯ざわりを添えてくれます。
蒟蒻は水分を多く含み、食物繊維を含む食材です。
豆苗ともやしは、どちらも水分を多く含みますが、豆苗は青い香り、もやしはみずみずしい食感が特徴です。
鰆の柚庵焼きで見る、脂質・たんぱく質・柚子の香り
鰆の柚庵焼きで注目したいのは、鰆に含まれる脂質とたんぱく質、そして柚子が持つ香りです。 魚の焼き物に柑橘を合わせると、味だけでなく、香りの印象も大きく変わります。 柚庵焼きは、魚の成分と柑橘の香りが重なるところに面白さがあります。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「さわら/生」の可食部100gあたり、水分68.6g、たんぱく質20.1g、脂質9.7gとされています。 鰆は水分を多く含みながら、たんぱく質と脂質もあわせ持つ魚です。 たんぱく質は、魚の身の構造に関わる成分です。
加熱すると、魚の身ではたんぱく質変性が起こります。 たんぱく質変性とは、熱などによってたんぱく質の形や性質が変わることです。 生の魚の身が、焼くことで白っぽく締まり、ほぐれやすい状態へ近づいていくのは、この変化が関わっています。
一方で、脂質は魚らしい口当たりや香りに関わります。 鰆は白身魚の中でも、脂の印象を感じやすい魚として扱われることがあります。 焼くことで身の中の脂質が温まり、たんぱく質の変化や水分の動きと重なって、焼き魚らしい風味を作ります。
ここに柚子が加わります。 柚子の香りには、リモネンなどのテルペン類が関わります。 テルペン類とは、柑橘の皮やハーブなどに多く見られる香り成分の仲間です。 リモネンは柑橘らしい香りの印象に関わる成分として知られ、温かい料理では香りが立ち上がりやすくなります。
柚子のしぼり汁には、酸味もあります。 酸味には有機酸が関わります。 有機酸とは、食品に含まれる酸味成分の仲間です。 柑橘類ではクエン酸がよく知られており、魚の脂の印象を少し軽く感じさせ、味全体に輪郭を与えます。
柚庵焼きに使う酒、砂糖、みりん、塩にも、それぞれ役割があります。 酒は魚の香りの角をやわらげる方向に働き、砂糖やみりんは甘みと照りの印象を添えます。 塩は味の輪郭を整えるだけでなく、魚の表面の水分にも関わります。
こうして鰆の柚庵焼きは、鰆のたんぱく質、脂質、水分に、柚子の香りと酸味、調味料の甘みや塩味が重なる料理になります。 焼くことで魚の身は変化し、柚子の香りは温度によって立ち上がります。 その間に、脂質の印象、柑橘の香り、調味料の甘みが少しずつ重なっていきます。
副菜の筑前煮には、鶏肉、ごぼう、こんにゃく、にんじん、絹さやが入ります。 鰆が魚のたんぱく質と脂質を持つ一方で、筑前煮は根菜やこんにゃくの食物繊維と、鶏肉のたんぱく質が組み合わさる料理です。 豆苗ともやしの炒め物は、水分の多い野菜に、ごまの香りを添える組み合わせです。
一つの献立の中でも、魚、肉、根菜、こんにゃく、芽もの野菜と、それぞれ異なる成分の特徴があります。 鰆の柚庵焼きは、その中でも、魚の脂質と柚子の香りが特に分かりやすく重なる一品です。 今日の鰆の柚庵焼きを、そんな食材の成分と香りの重なりとともに楽しんでいただければと思います。