サーモンのフライ
ほうれん草とえのきのおひたし
ばんさんす
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
サーモンは種類未指定のため、参考として「たいせいようさけ/養殖/皮つき/生」の数値を掲載しています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|
| サーモン | たいせいようさけ/養殖/皮つき/生 | 水分62.1g、たんぱく質20.1g、脂質16.5g、ビタミンD 8.3μg、ビタミンB12 7.2μg |
| ほうれん草 | ほうれんそう/葉/通年平均/ゆで | 食物繊維総量3.6g、β-カロテン当量5400μg、葉酸110μg、鉄0.9mg |
| えのき | えのきたけ/生 | 水分88.6g、たんぱく質2.7g、食物繊維総量3.9g、カリウム340mg |
| 春雨 | 緑豆はるさめ/乾 | 炭水化物87.5g、食物繊維総量4.1g |
| きゅうり | きゅうり/果実/生 | 水分95.4g、食物繊維総量1.1g、カリウム200mg |
| 玉子 | 鶏卵/全卵/生 | 水分75.0g、たんぱく質12.2g、脂質10.2g |
| 胡麻 | ごま/いり | 脂質54.2g、食物繊維総量12.6g、カルシウム1200mg、鉄9.9mg |
サーモンは、たんぱく質と脂質を含む魚です。
脂質は、魚らしい口当たりや香りにも関わる成分です。
ほうれん草は、β-カロテン、葉酸、鉄、食物繊維などを含む緑黄色野菜です。
えのきは食物繊維やカリウムを含むきのこで、おひたしにするとだしの風味を受け止めながら、独特の歯ざわりを添えてくれます。
ばんさんすに使う春雨は、でんぷん由来の食材です。
きゅうりの水分、酢の酸味、胡麻の香ばしさと合わせることで、軽い口当たりの副菜になります。
玉子は、たんぱく質と脂質を含む食材です。
錦糸卵にすると、酢の物の中にやわらかな風味と彩りを添えてくれます。
サーモンフライに起こる脂質の熱変化と衣の反応
サーモンのフライで注目したいのは、身に含まれる脂質と水分、そして衣の表面で起こる熱反応です。
同じ魚のフライでも、淡白な白身魚とは少し違い、サーモンは脂質の存在感が料理の印象に関わりやすい食材です。
文部科学省「食品成分データベース」では、「たいせいようさけ/養殖/皮つき/生」可食部100gあたり、水分62.1g、たんぱく質20.1g、脂質16.5gとされています。
この数字を見ると、サーモンはたんぱく質を含むだけでなく、脂質も比較的しっかり含む魚であることが分かります。
脂質とは、水に溶けにくく、油になじみやすい成分の総称です。
サーモンの脂質には、魚らしい口当たりや香りに関わる成分が含まれます。
魚の脂に含まれる成分としては、EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸がよく知られています。
EPAの簡略構造式:
CH3-CH2-(CH=CH-CH2)4-CH=CH-(CH2)3-COOH
DHAの簡略構造式:
CH3-CH2-(CH=CH-CH2)5-CH=CH-(CH2)2-COOH
不飽和脂肪酸とは、分子の中に二重結合を持つ脂肪酸の仲間です。
二重結合は化学的に反応しやすい部分でもあり、熱や酸素の影響を受けると、香りの印象に関わる成分が生まれることがあります。
この変化は、単純に良い悪いではなく、魚らしさや加熱香の一部として料理の印象を作ります。
サーモンをフライにすると、外側の衣が先に油の熱を受けます。
衣には水分、でんぷん、たんぱく質などが含まれ、加熱によって水分が抜けていきます。
水分が抜けることで表面温度が上がり、香ばしい香りが生まれやすくなります。
この香ばしさには、メイラード反応が関わります。
メイラード反応とは、糖とアミノ酸が加熱によって反応し、褐色の色合いや香ばしい香りを生む現象です。
フライの衣では、強い焼き色をつけすぎなくても、淡い揚げ色とともに小さな熱反応が進んでいます。
一方、内側のサーモンの身では、タンパク質変性が起こります。
タンパク質変性とは、熱などによってタンパク質の形や性質が変わることです。
魚の身は加熱によって透明感のある状態から不透明になり、少しずつ締まっていきます。
ここでサーモンらしい個性になるのが、脂質の存在です。
加熱によって脂がゆるみ、身の中で水分やたんぱく質の変化と重なります。
脂質があることで、口当たりはなめらかに感じられやすくなりますが、火が入りすぎると水分が外へ動き、身が締まった印象に近づきます。
下味の塩、胡椒、酒にも小さな役割があります。
塩は味の輪郭を整え、魚の表面の水分にも関わります。
胡椒は揮発性の香りを持ち、温度が上がると香りが立ちやすくなります。
揮発性とは、温度が上がると空気中に広がりやすい性質のことです。
酒は、加熱中に香りやアルコール分が変化しながら、魚の香りの角を少しやわらげるように働くことがあります。
強い味をつけるというより、魚、衣、油、香辛料の関係を整える下支えのような存在です。
つまりサーモンフライでは、外側と内側で違う科学が同時に進んでいます。
外側では、衣の水分が抜け、メイラード反応による香ばしさが生まれます。
内側では、サーモンのタンパク質が変性し、脂質がゆるみ、水分の動きが口当たりに関わります。
親しみやすいサーモンのフライの中にも、脂質、水分、タンパク質、衣、香りの小さな設計があります。
今日の一皿を、そんな食材の変化とともに楽しんでいただければと思います。