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本日の日替わりランチは、海老フライを主菜に、おくらの胡麻和え、大根と鶏団子の煮物を合わせました。
白ご飯、赤だし、大根葉の漬物とともにご用意しています。
海老フライは、バナメイ海老に塩、胡椒、酒で下味をつけ、衣をまとわせて揚げた一品です。
ゆで卵、マヨネーズ、玉ねぎ、レモン汁、パセリを合わせたタルタルソースを添えています。
おくらの胡麻和えは、おくらと細切りにした人参を、炒り胡麻、醤油、砂糖、みりん、酒で和えた副菜です。
大根と鶏団子の煮物は、大根と鶏団子を、だし、醤油、みりん、酒、砂糖で煮含めています。
揚げ物、和え物、煮物と、調理法が変わると、食材の水分、香り、粘り、たんぱく質の表情も変わります。
本日も、かに久の日替わりランチを通して、和食の中の小さな食材学をお楽しみください。
海老フライ
おくらの胡麻和え
大根と鶏団子の煮物
白ご飯
赤だし
大根葉の漬物
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|---|---|
| バナメイ海老 | バナメイえび/養殖/生 | 水分78.6g、たんぱく質19.6g、脂質0.6g、カルシウム68mg、鉄1.4mg |
| おくら | オクラ/果実/生 | 水分90.2g、たんぱく質2.1g、脂質0.2g、食物繊維総量5.0g、カリウム280mg、β-カロテン当量520μg |
| 炒り胡麻 | ごま/いり | たんぱく質20.3g、脂質54.2g、食物繊維総量12.6g、カルシウム1200mg、鉄9.9mg |
| にんじん | にんじん/根/皮なし/生 | β-カロテン当量7600μg、食物繊維総量2.8g、カリウム300mg |
| 大根 | だいこん/根/皮なし/生 | 水分94.6g、たんぱく質0.4g、脂質0.1g、食物繊維総量1.3g |
| 鶏むね肉 | 若どり/むね/皮なし/生 | 水分74.6g、たんぱく質23.3g、脂質1.9g、カリウム370mg |
| 鶏もも肉 | 若どり/もも/皮なし/生 | 水分76.1g、たんぱく質19.0g、脂質5.0g、カリウム320mg |
バナメイ海老は、たんぱく質を含み、脂質は少なめの魚介類です。
揚げ物にすると、海老の身質に衣の香ばしさと油の風味が重なります。
おくらは水分を多く含み、食物繊維やβ-カロテンを含む野菜です。
胡麻と合わせることで、粘りのある口当たりに、種実類らしい香ばしさと脂質のまろやかさが加わります。
大根は水分を多く含む野菜です。
鶏団子と煮ることで、鶏肉のたんぱく質、だしのうま味、生姜の香りが重なります。。
おくらの胡麻和えで見る、粘りと香ばしさの重なり
おくらの胡麻和えで掘り下げたいのは、おくらの「粘り」です。
夏に向かって存在感が増してくるおくらは、見た目は細くて軽やかな野菜ですが、切ると一気に表情が変わります。
包丁を入れた断面から粘りが出て、和え衣や調味料を受け止めるような質感が生まれます。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「オクラ/果実/生」の可食部100gあたり、水分90.2g、たんぱく質2.1g、脂質0.2g、食物繊維総量5.0gとされています。
おくらは水分を多く含みながら、食物繊維も含む野菜です。
この「水分の多さ」と「粘りのある食感」が、おくららしさを作る大きな手がかりになります。
おくらの粘りは、食物繊維を含む粘質物によるものです。
よく「ねばねば野菜」と呼ばれる食材には、山芋、モロヘイヤ、なめこ、めかぶなどがありますが、おくらの粘りはそれらとは少し違う軽さがあります。
糸を引くほど強く主張するというより、刻んだ断面からやわらかく広がり、調味料をまとわせるように働きます。
胡麻和えにすると、この粘りがとても面白い役割を持ちます。
炒り胡麻をすり、醤油、砂糖、みりん、酒と合わせると、香ばしさ、甘み、塩味がひとつの和え衣になります。
そこへおくらを合わせると、粘りのある表面が胡麻衣を受け止め、味がすっと離れずに野菜に寄り添います。
おくらは、味そのものが強い野菜ではありません。
苦みや辛味で前に出るというより、青い香り、やわらかな歯ざわり、粘りのある口当たりで印象を作ります。
だからこそ、胡麻の香ばしさがよく映えます。
おくらの緑色にも、少し触れておきたいところがあります。
おくらは、鮮やかな緑をもつ緑黄色野菜のひとつです。
緑黄色野菜には、β-カロテンという色素成分が含まれます。
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わる成分として知られています。
おくらの場合、色が強く主張するわけではありませんが、刻んだ断面の緑や、ほどよく火を通したときに少し冴える緑として表れます。
胡麻和えにすると、すった胡麻の淡い色の中に、おくらの緑がのぞきます。
味や粘りだけでなく、この緑も、献立の中でおくららしさを静かに伝えています。
胡麻は脂質を多く含む種実類です。
食品成分データベースによると、「ごま/いり」の可食部100gあたり、脂質54.2g、たんぱく質20.3g、食物繊維総量12.6gとされています。
実際の一食分で使う量は少量ですが、胡麻は香りと油脂のまろやかさを少し加えるだけでも、料理の印象を変えてくれます。
おくらの粘りに、胡麻の脂質と香ばしさが重なる。
この組み合わせが、胡麻和えの良いところです。
水分の多いおくらだけでは軽く流れてしまう味も、胡麻が入ることで少し丸くなります。
反対に、胡麻だけでは重くなりやすいところを、おくらの青い香りと水分が軽やかにしてくれます。
ちなみに、β-カロテンは油になじみやすい成分なので、胡麻の油脂と一緒にとる胡麻和えは、味の面でも成分の面でも理にかなった組み合わせと言えます。
食物繊維の話も、おくらを見るうえで外せません。
食物繊維は、人の消化酵素では消化されにくい成分として知られています。
「ねばねばしたものは身体に良さそう」と感じる方も多いと思いますが、その印象の背景には、おくらに含まれる食物繊維や水分、食感への注目があります。
料理としては、粘りが口当たりをやわらかくし、和え衣と食材をつなぐところに、おくららしい面白さがあります。
加熱の仕方でも、おくらの印象は変わります。
火を入れすぎると、色が沈み、食感もやわらかくなりすぎます。
一方で、ほどよく火を通すと、青い香りの角が少し取れ、緑も冴え、胡麻和えとして食べやすい状態になります。
おくらは、加熱で大きく変化させるというより、ほどよいところで止めることが大切な野菜です。
切り方も、粘りの出方に関わります。
丸ごとでは粘りは控えめですが、輪切りにすると断面が増え、粘りが出やすくなります。
つまり、おくらは「切る」という小さな作業でも、料理の性格が変わる食材です。
同じおくらでも、丸ごと焼く、縦に割る、輪切りにする、刻む。
それぞれで、粘り、香り、歯ざわりの出方が変わります。
今回のおくらの胡麻和えでは、炒り胡麻、醤油、砂糖、みりん、酒を使っています。
醤油は塩味とうま味の輪郭を作り、砂糖とみりんは甘みを添えます。
酒は調味の香りをやわらかく整え、胡麻は全体に香ばしい厚みを加えます。
そこにおくらの粘りが入ることで、調味料がただ表面につくだけではなく、口の中でまとまりやすくなります。
おくらは、主菜のように強く目立つ食材ではないかもしれません。
けれど、旬の時期に向かうおくらには、夏野菜らしい水分、青い香り、粘りのある食感、そして緑黄色野菜らしい色があります。
胡麻和えにすると、その個性がやさしくまとまり、献立の中で小さな涼しさを作ってくれます。
海老フライの衣の香ばしさ、大根と鶏団子の煮物のだしのやわらかさ。
その間に、おくらの胡麻和えが入ることで、献立の中に青みと粘り、胡麻の香りが加わります。
派手ではありませんが、食感の違いを作る大切な副菜です。
今日のおくらの胡麻和えを、そんな粘り、水分、色、胡麻の香ばしさの重なりとともに楽しんでいただければと思います。
【用語メモ】
・食物繊維:人の消化酵素では消化されにくい成分です。野菜、豆類、きのこ、海藻などに多く含まれます。
・粘質物:食材に粘りやとろみを感じさせる成分のまとまりを指す言葉です。おくらのねばりにも関わります。
・脂質:水に溶けにくく、油になじみやすい成分の総称です。胡麻の香ばしさやまろやかな口当たりにも関わります。
・β-カロテン:緑黄色野菜に含まれる色素成分のひとつで、体内で必要に応じてビタミンAに変わることがあります。油になじみやすい性質を持ちます。

