| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
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| マグロ(赤身) | たんぱく質、鉄 体づくりに関わる栄養素として知られ、赤身には鉄も含まれます |
| 卵豆腐 | たんぱく質 卵由来のたんぱく質を手軽に含む一品です |
| 豚ひき肉 | たんぱく質、ビタミンB1 ビタミンB1はエネルギー代謝に関わる栄養素として知られています |
| 筍・玉ねぎ・しいたけ | 食物繊維 野菜やきのこ由来の食物繊維を含みます |
| 高菜漬け | 発酵由来の風味成分 漬物として塩味と香りを添えます |
※数値ではなく、含まれる成分の一般的な傾向をまとめています。
鉄火丼の赤身がまとう、あの色の正体
鉄火丼を前にすると、やっぱり目を引くのはマグロ赤身のあざやかな色ですよね。実はあの赤、血の色というより、筋肉そのものに含まれる「ミオグロビン」という色素たんぱく質が大きな役割を担っています。酸素を筋肉にためておく働きを持つ成分で、マグロのように広い海を泳ぎ続ける回遊魚ほど、この色素を多く持つ傾向があるんです。長距離ランナーの筋肉、といったイメージでしょうか。
このミオグロビン、酸素とどう付き合っているかで色の表情を変えます。切りたての赤身がしばらく空気に触れると、鮮やかな赤へと発色し、さらに時間が経つと今度はくすんだ褐色寄りへ移っていきます。これは色素と酸素の結びつき方が移り変わるためで、お寿司屋さんやお店が切りつけのタイミングを大切にするのには、こうした背景もあります。見た目の鮮度感は、化学的な色の変化と地続きなんですね。
そして赤身といえば、栄養学の面から眺めると鉄が手がかりになります。ミオグロビンやヘモグロビンに含まれる鉄は、植物性の鉄とは吸収のされ方が異なるタイプとして知られていて、研究の場でもしばしば注目されてきました。マグロの赤身が「赤い」こと自体が、鉄を含む色素の存在をそのまま物語っている、と考えると面白いです。
マグロは泳ぎを止めると口から水を取り込めず呼吸が苦しくなるため、眠っている間もゆっくり泳ぎ続けると言われています。つまりマグロにとっては「泳ぎながら寝る」が通常運転。あの引き締まった赤身は、ほぼ一生分の遊泳の積み重ねでもあるわけです。鉄火丼を見るたびに「お疲れさま」と言いたくなる…というのは言い過ぎでしょうか。
味わいの面では、赤身のうま味を支えるのがイノシン酸をはじめとするうま味成分。特製のタレの甘みや醤油のコクと重なると、赤身のあっさりした輪郭にふくよかさが添えられます。色・鉄・うま味、この三つを一度に味わえるのが、鉄火丼の静かな贅沢なのかもしれません。
【用語メモ】
・ミオグロビン:筋肉の中で酸素をたくわえる色素たんぱく質。赤身の色のもと。
・うま味成分:イノシン酸やグルタミン酸など、だしや食材の「うま味」を感じさせる成分。