豚肉の生姜焼き
白菜のおひたし
ひじき入りだし巻き卵
白ご飯
赤だし
高菜漬け
豚肉の生姜焼きに潜む、ビタミンB1と生姜の香りの小さな協力関係
生姜焼きと聞くと、まず生姜の香りが思い浮かびますが、実は栄養学の面から見ると豚肉とのコンビネーションがなかなか面白いんです。
豚肉は、ビタミンB1を多く含む食材として知られています。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」によると、豚肉のもも(生・赤肉)では100gあたりおよそ0.96mgのビタミンB1が含まれており、肉類の中でも目立つ数値です。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える流れに関わる栄養素として知られていて、白ご飯と一緒に食べる和定食とは、そもそも相性のよい組み合わせなんですね。
ここで生姜の出番です。生姜に含まれる香り成分やピリッとした成分は、肉のにおいをやわらげて、脂のこってり感に軽やかな輪郭を添えてくれます。生姜の辛みのもとはジンゲロールという成分で、加熱するとショウガオールという別の成分へ少しずつ表情を変えていきます。だから生のすりおろしと、タレを煮絡めた時とでは、香りや刺激の印象がほんの少し違ってくるんです。今日のタレは絞り汁を使っているので、フレッシュな香りが立ちやすい仕立てです。
そして玉ねぎ。炒めることで甘みが前に出てくるのは、加熱によって辛み成分がやわらぎ、もともと持っている糖がより感じられるようになるためです。醤油・みりん・砂糖のタレと一緒にフライパンの上で軽く焦げ色がつくと、糖とアミノ酸が反応して香ばしさを生むメイラード反応も起こります。あのそそられる香りの正体は、わりと化学的なんですね。
生姜の酵素には、たんぱく質を分解する働きを持つプロテアーゼの一種が含まれていることが知られています。すりおろした生の生姜に肉を漬けておくと、やわらかく感じられることがあるのはこのためと言われています。ただしこの酵素は熱に弱く、加熱するとおとなしくなってしまうので、下味に使うのか、タレとして最後に絡めるのかで役割がガラッと変わる、なかなか働き者で気分屋な成分です。
生姜焼きのタレが煮詰まってくると、豚肉が急にツヤツヤ輝きだす瞬間がありますよね。あれはみりんや砂糖の糖分がとろみを帯びて肉の表面をコーティングするからで、豚肉が「照り」というドレスアップをしている状態。食欲をそそる見た目にも、ちゃんと理由があるわけです。
【用語メモ】
・ビタミンB1:糖質をエネルギーに変える流れに関わる栄養素。
・ジンゲロール/ショウガオール:生姜の辛みや香りに関わる成分。加熱で変化する。
・メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱で反応し、焼き色や香ばしい香りを生む反応。
・プロテアーゼ:たんぱく質を分解する働きを持つ酵素の総称。