きのこの炊き込みご飯
鮭の塩焼き
野菜のかき揚げ
赤だし
きゅうりのぬか漬け
きのこの炊き込みご飯に重なる、グアニル酸という旨み成分の正体
何種類ものきのこを合わせたご飯って、なんだかいいもの食べてる感がすごいですよね。でもあの「じんわり来るうまさ」、実は気分だけの話ではなくて、きのこが持つグアニル酸という成分がちゃんと働いています。
グアニル酸は核酸系のうま味成分の仲間で、昆布のグルタミン酸、かつお節のイノシン酸と並ぶ代表格です。おもしろいのは、これらを組み合わせるとうま味が足し算ではなく、ぐっと強く感じられること。いわゆる「うま味の相乗効果」と呼ばれる現象で、今回のように赤だし(だしのグルタミン酸やイノシン酸)ときのこご飯(グアニル酸)が同じお膳にのるのは、舌の上でちょうどいい組み合わせになっているんです。
グアニル酸は、生のきのこに最初からたっぷり入っているわけではありません。きのこの細胞内にある前の段階の物質が、加熱や時間の経過とともに酵素の働きで変化して、グアニル酸へと増えていきます。特にしいたけでは、この酵素が働きやすい温度帯があるため、いきなり強火で一気に加熱するより、ゆっくり温度が上がる炊き込みのような調理は、うま味の面から見ても相性が良いと言われています。干ししいたけを水でじっくり戻すとうま味が増すのも、同じ理屈の仲間です。
ちなみに舞茸には、たんぱく質を分解する酵素が含まれていて、これが強い。茶碗蒸しに生の舞茸をそのまま入れると固まらなくなる、という調理現場のちょっとした落とし穴は昔から知られています。卵のたんぱく質を酵素がほどいてしまうんですね。今日のご飯では加熱でしっかり火が入るので心配はいりませんが、「舞茸、茶碗蒸しに生で入れるな」は、知っていると地味にドヤれる豆知識です。
栄養の面では、きのこは食物繊維を含む食材として知られていて、低カロリーながら食べごたえを出してくれる存在です。さらにしいたけなどには、紫外線に当たるとビタミンDに変わる前の成分が含まれているのも、栄養学の分野で注目される特徴のひとつ。干ししいたけを日光に少し当てておく、なんて小技が語られるのはこのあたりが背景にあります。
味・香り・食感の面でも、きのこは多彩です。しめじやえのきの歯切れ、舞茸の香り、しいたけのコク。これらが油揚げの受け止めるだしと一緒に米になじんで、一膳の中に奥行きを作ってくれます。うま味成分という理屈を知ってから食べると、同じご飯でも少し違って感じられるかもしれません。
【用語メモ】
・グアニル酸:きのこ類に多い核酸系のうま味成分。
・うま味の相乗効果:異なる種類のうま味成分を合わせると、うま味がより強く感じられる現象。
・酵素:生き物の中で化学反応を助けるたんぱく質。温度などの条件で働きが変わる。