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本日の日替わりランチは、サーモンのホイル焼きを主菜に、筍の金平、卵豆腐の揚げ出しを合わせました。
白ご飯、赤だし、高菜漬けとともにご用意しています。
サーモンのホイル焼きは、サーモンに玉葱、しめじ、えのきを合わせ、醤油、みりん、酒、バターで仕立てた一品です。
ホイルで包んで火を入れることで、魚、きのこ、玉葱の水分と香りが内側で重なります。
筍の金平は、真竹を醤油、みりん、砂糖、酒、輪切り唐辛子で炒めた副菜です。
卵豆腐の揚げ出しは、やわらかな卵豆腐を揚げ物として仕立て、だしとのなじみを楽しむ一品です。
焼き物、炒め物、揚げ物と、調理法が変わると、食材の水分、脂質、香り、だしとのなじみ方も変わります。
本日も、かに久の日替わりランチを通して、和食の中の小さな食材学をお楽しみください。
サーモンのホイル焼き
筍の金平
卵豆腐の揚げ出し
白ご飯
赤だし
高菜漬け
食品成分の数値は、文部科学省「食品成分データベース」を参考にしています。
いずれも可食部100gあたりの値で、実際の一食分の栄養量とは異なります。
アトランティックサーモンは「たいせいようさけ/養殖/皮なし/生」の数値を参考にしています。
| 食材 | 成分表での食品名・条件 | 主な成分例 |
|---|---|---|
| アトランティックサーモン | たいせいようさけ/養殖/皮なし/生 | 水分62.5g、たんぱく質19.6g、脂質17.0g、ビタミンD 7.3μg、ビタミンB12 8.0μg |
| しめじ | ぶなしめじ/生 | 水分91.1g、たんぱく質2.7g、食物繊維総量3.0g、カリウム370mg |
| えのき | えのきたけ/生 | 水分88.6g、食物繊維総量3.9g、カリウム340mg、ビタミンD 0.9μg |
| 卵豆腐 | 鶏卵/たまご豆腐 | 水分85.2g、たんぱく質6.5g、脂質5.3g |
| 筍 | たけのこ/若茎/生 | 水分90.8g、たんぱく質3.6g、食物繊維総量2.8g、カリウム520mg |
アトランティックサーモンは、たんぱく質と脂質を含む魚です。
ビタミンDやビタミンB12も含み、栄養学の面から見ても興味深い食材です。
しめじやえのきは水分を多く含むきのこ類で、食物繊維も含みます。
ホイル焼きにすると、魚や調味料の香りと重なり、料理全体にやわらかな風味を添えます。
卵豆腐は、水分を多く含むやわらかな卵加工品です。
揚げ出しにすると、外側の香ばしさと内側のなめらかさの差が出やすくなります。
アトランティックサーモンのホイル焼きに見る、脂質と蒸気の包み込み
サーモンのホイル焼きで掘り下げたいのは、アトランティックサーモンの脂質と、ホイルの中で起こる水分の動きです。
ホイル焼きは、魚を直接焼きつける料理とは少し違います。
魚、野菜、きのこ、調味料を包み、内側に生まれる水蒸気と調味液で火を入れていく調理です。
名前は焼き物ですが、性格としては蒸し物に近い部分もあります。
文部科学省「食品成分データベース」によると、「たいせいようさけ/養殖/皮なし/生」の可食部100gあたり、水分62.5g、たんぱく質19.6g、脂質17.0gとされています。
さらに、ビタミンD 7.3μg、ビタミンB12 8.0μgも含まれています。
実際の成分は産地や部位によって変わりますが、アトランティックサーモンを栄養学の面から眺めるときの手がかりになります。
サーモンらしさを形づくる大きな要素のひとつが脂質です。
脂質とは、水に溶けにくく、油になじみやすい成分の総称です。
アトランティックサーモンは、白身魚のような淡さで食べさせる魚というより、脂質が口当たりや香りの印象を作りやすい魚です。
よく「魚の脂は身体に良い」と言われることがあります。
その言葉だけでは少し大きなくくりですが、背景には、EPAやDHAなどの脂肪酸への関心があります。
ここでは効能を言い切るのではなく、サーモンという食材らしさを作る成分として、脂質を見ていきます。
ホイルで包んで加熱すると、サーモンの脂質はゆるみ、醤油、みりん、酒、バターの香りとなじみやすくなります。
醤油は塩味とうま味の輪郭を添え、みりんは甘みと照りの印象を作ります。
酒は魚と調味料の香りをつなぎ、バターはサーモンの脂質と調味液の間に丸みを持たせます。
ここで面白いのは、バターが単に濃さを足すだけではないところです。
サーモンの脂質とバターの脂質が重なることで、醤油やみりんの水分を含む調味液に、油脂らしいなめらかな層が加わります。
水分だけでは軽く流れやすい味に、脂質がゆるやかな余韻を添えるような形です。
ホイルの中では、玉ねぎ、しめじ、えのきからも水分が出ます。
玉ねぎは加熱によって辛味の印象がやわらぎ、甘みを感じやすくなります。
しめじやえのきは水分を多く含むきのこ類で、加熱するとかさが落ち、香りがふっと立ちます。
この水分が、ホイルの内側で小さな蒸気の空間を作ります。
サーモンはその中で加熱されるため、表面を強く焼き固めるというより、身全体にやわらかく火が入りやすくなります。
ホイル焼きでは、焦げ目を強く作るよりも、水蒸気、脂質、調味液のなじみ方が見どころです。
サーモンの身では、加熱によってたんぱく質変性が起こります。
たんぱく質変性とは、熱などによってたんぱく質の形や性質が変わることです。
生の状態では透明感のある身が、火が入ることで不透明になり、ほぐれやすい食感へ近づきます。
このとき、脂質があることで、身の口当たりにしっとりした印象が残りやすくなります。
水分だけでは淡くなり、脂質だけでは重くなります。
サーモンのホイル焼きでは、魚の水分、魚の脂質、バター、野菜やきのこの水分が、包みの中で重なりながら料理の表情を作ります。
サーモンの色にも、食材としての面白さがあります。
さけ・ます類の赤みがかった色には、アスタキサンチンというカロテノイド系の色素成分が関係するとされています。
カロテノイドとは、赤、橙、黄色などの色に関わる天然色素の仲間です。
ここでは健康効果としてではなく、サーモンらしい見た目を作る成分として捉えると、食材の個性が見えやすくなります。
栄養学の面では、ビタミンDやビタミンB12も注目されます。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の形成に関わる栄養素です。
ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
サーモンは、脂質だけでなく、こうしたビタミン類もあわせて含む魚です。
ホイル焼きの面白さは、サーモンだけで完結しないところにもあります。
玉ねぎの水分、しめじとえのきの香り、醤油とみりんの甘辛さ、酒の香り、バターの脂質。
それぞれがホイルの中で逃げ場を失い、魚の身に寄り添うようにまとまります。
サーモンのホイル焼きは、強い焼き目をつける料理ではありません。
包むことで、脂質を生かし、水分を逃がしすぎず、香りを内側に留める料理です。
食材を派手に変えるのではなく、内側で静かに重ねていく調理と言えます。
今日のサーモンのホイル焼きを、そんな脂質と水蒸気の小さな働きとともに楽しんでいただければと思います。

