鯖の煮つけ
豆腐入り肉団子の甘酢あん
夏野菜の揚げびたし
白ご飯
赤だし
きゅうりのぬか漬け
| 食材 | 成分・栄養素の手がかり |
|---|
| さば | たんぱく質、脂質(EPA・DHAなどの脂肪酸) 青魚特有の脂の質が注目される食材です。 |
| 豆腐・豚肉 | たんぱく質 動物性と植物性のたんぱく質を合わせた一品です。 |
| 夏野菜(茄子・かぼちゃ・パプリカ) | ビタミン類、食物繊維、カリウム かぼちゃやパプリカは色に関わる成分を含みます。 |
| きゅうりのぬか漬け | 水分、乳酸菌由来の風味 ぬか床由来の香りとうま味が加わります。 |
※成分の一般的な説明です。含有量は食材の状態や調理により変わります。
豆腐入り肉団子がふんわりする理由と、あのカルシウムの出どころ
肉団子に豆腐を入れると軽くなる。これは経験的によく知られていますが、中で起きていることを覗くとなかなか面白いです。
まず水分量から。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、可食部100gあたりの水分は、木綿豆腐が85.9g、豚ひき肉(生)が64.8g。豆腐は自身の重さの八割以上が水で、しかもそれをただ抱えているわけではありません。豆腐はすでに「固まったゲル」なので、水を網目の中に閉じ込めた状態で団子の中に散らばります。
一方の豚ひき肉は、加熱されるとミオシンなどのたんぱく質が変性し、絡み合って網目を作ります。ここまでは豆腐と似ているのですが、肉の網目は加熱が進むほど締まっていき、抱えていた水を押し出します。肉だけの団子が締まった食感になるのは、この収縮のせいです。そこに豆腐が入ると、締まっていく肉の間に、水を抱えたままの小さな塊が点在することになる。断面がわずかに粗くなり、噛んだときの抵抗が減ります。甘酢あんが入り込む余地が生まれるのも、この構造のおかげです。
さて、その豆腐がなぜ固まっているのか。ここが今日の本題です。
豆乳に含まれる大豆たんぱく質、主にグリシニンやβ-コングリシニンは、マグネシウムイオンやカルシウムイオンが加わると、たんぱく質同士が橋渡しされて網目になります。これが凝固剤の役割。にがりの主成分は塩化マグネシウム、すまし粉と呼ばれるものは硫酸カルシウムです。
成分表を見ると、木綿豆腐のカルシウムは100gあたり93mg、絹ごし豆腐は75mgとあります。豆腐はカルシウムを含む食材として知られていますが、そのかなりの部分は大豆そのものではなく、この凝固剤に由来しています。つまり「どの凝固剤で固めたか」で、豆腐のミネラル組成は変わってくる。同じ豆腐という名前でも、中身は作り手の選択を映しているわけです。カルシウムは骨や歯の構成に関わる栄養素として知られていますが、その出どころが製法にあるというのは、栄養表示の数字を眺めるときの小さな手がかりになります。
にがりは漢字で「苦汁」。海水から塩を取り出したあとに残る、苦い液体のことです。豆腐の中のマグネシウムをたどっていくと海に行き着く。海の恵みは思わぬところに顔を出します。
そして最後に甘酢あん。片栗粉のでんぷんが加熱で糊化してとろみになり、団子の表面にとどまります。豆腐が内側に水を抱え、あんが外側から液体をまとわせる。ふんわりした食感は、この内と外の水の配置で決まっています。
【用語メモ】
・たんぱく質変性:熱などによって、たんぱく質の形や性質が変わること。
・ゲル:液体を網目状の構造の中に抱え込んで、全体が固まった状態のもの。豆腐が代表例。
・凝固剤:豆乳を固めるために使うもの。にがり(塩化マグネシウム)や硫酸カルシウムなど。
・糊化:でんぷんが水と熱によって膨らみ、粘りととろみを持つ状態に変わること。