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かに久 - 蟹図鑑 –

あなたはどの蟹が好きですか?
「蟹といえばタラバ」「いや、ずわいでしょ」——そんな会話が生まれるくらい、蟹にはそれぞれに熱心なファンがいます。
好みが分かれるのには、ちゃんと理由があります。
そんな蟹の秘密を少しだけご紹介します。

タラバ蟹・毛蟹・ずわい蟹・花咲蟹、それぞれの個性を楽しむ

蟹とひとことで言っても、種類によって姿も味わいも大きく異なります。

脚が太く、食べごたえのあるタラバ蟹。
小ぶりながら、蟹味噌までじっくり楽しめる毛蟹。
繊細な甘みと上品な身質で親しまれるずわい蟹。
北海道・道東を代表する、濃厚な旨みの花咲蟹。

どれも食卓では「蟹」として親しまれていますが、生き物としての分類、身の食感、味わい、向いている料理はそれぞれ少しずつ違います。

今回は、かに久でもなじみ深い4種類の蟹について、少し深く掘り下げてご紹介します。

まずは4種類の早見表

種類大きな特徴味わいの印象食べごたえ蟹味噌向いている食べ方
タラバ蟹太く大きな脚甘みがあり、身はしっかりとても強い一般的には身が主役焼き蟹、ボイル、鍋
毛蟹甲羅を覆う細かな毛濃厚で、味噌の印象が強い身は小ぶりだが旨みありとても魅力的塩ゆで、甲羅盛り
ずわい蟹細く長い脚、美しい姿上品で繊細な甘みバランス型楽しめる蟹すき、蟹ちり、しゃぶ、焼き蟹
花咲蟹トゲの強い赤い甲羅濃厚で力強い旨み強い楽しめる塩ゆで、鉄砲汁、味噌汁

味わいチャート

下の表は、お客様に分かりやすくするための目安です。
産地、個体差、鮮度、調理法によって印象は変わります。

種類甘み濃厚さ身の太さ繊細さ味噌の存在感
タラバ蟹★★★★☆★★★☆☆★★★★★★★☆☆☆★☆☆☆☆
毛蟹★★★☆☆★★★★★★★☆☆☆★★★☆☆★★★★★
ずわい蟹★★★★★★★★☆☆★★★☆☆★★★★★★★★☆☆
花咲蟹★★★★☆★★★★★★★★★☆★★☆☆☆★★★★☆

蟹は全部「同じ蟹」ではありません

見た目はどれも蟹ですが、分類として見ると少し面白い違いがあります。

毛蟹とずわい蟹は、いわゆる「カニらしいカニ」として親しまれている種類です。
一方で、タラバ蟹と花咲蟹は、タラバガニ科に分類される仲間で、一般的な短尾類のカニとは少し違うグループです。花咲蟹については、名前に「カニ」とありますが、ヤドカリの仲間に分類されると説明されることもあります。

食卓では同じ「蟹」として楽しめますが、生き物としての背景を知ると、姿や味わいの違いも少し楽しく見えてきます。

タラバ蟹

豪快な食べごたえを楽しむ“蟹の王様”

タラバ蟹は、太く大きな脚と、しっかりとした身が魅力の蟹です。

英語では Red king crab と呼ばれ、アラスカなど北の冷たい海を代表する高級蟹としても知られています。大きな脚が並ぶ姿は迫力があり、食卓に出るだけで特別感があります。

食べた時の魅力は、何といっても「身の太さ」です。
ずわい蟹のような繊細さというより、タラバ蟹はひと口目から存在感があります。身の繊維がしっかりしていて、噛むほどに甘みと旨みが広がります。

焼き蟹にすると、表面に香ばしさが出て、身の甘みがより引き立ちます。
鍋に入れると、脚肉の存在感がしっかり残り、見た目にも華やかです。

タラバ蟹の味わい

項目印象
身の太さとても太い
食感ぷりっとして食べごたえがある
甘みしっかり感じる
繊細さやや控えめ
向いている料理焼き蟹、ボイル、蟹鍋

タラバ蟹は、蟹料理の中でも「豪快さ」を出しやすい蟹です。
脚肉が太いため、身を頬張る楽しさがあります。

「蟹を食べた」という満足感をしっかり味わいたい方には、タラバ蟹のような太い身の蟹がよく合います。

タラバ蟹の豆知識

タラバ蟹は、名前に「蟹」とありますが、分類上はタラバガニ科の仲間です。
一般的なカニとは少し違うグループで、見た目にも特徴があります。

タラバ蟹は、食卓で見ると大きな脚が目立ちます。
とくに太い脚の身は食べごたえがあり、焼き物やボイルでその魅力が分かりやすく出ます。

繊細な香りを楽しむというより、しっかりとした身の甘みと、豪快な存在感を楽しむ蟹です。

かに久的に見るタラバ蟹

タラバ蟹は、蟹料理の中でも分かりやすく華やかな存在です。

大きな脚があるだけで、食卓に「蟹を食べに来た」という特別感が生まれます。
身が太く、食べる部分も分かりやすいため、蟹に慣れていない方にも楽しんでいただきやすい蟹です。

豪快に蟹を楽しみたい時。
食べごたえを重視したい時。
見た目にも華やかな蟹料理を楽しみたい時。

そんな場面で、タラバ蟹はとても魅力的な蟹です。

毛蟹

小さな体に旨みを詰めた、味噌まで楽しむ蟹

毛蟹は、その名の通り、甲羅や脚が細かな毛のようなもので覆われている蟹です。

タラバ蟹のような大きな脚の迫力とは違い、毛蟹の魅力は、身と蟹味噌をじっくり味わうところにあります。

身は小ぶりですが、旨みが濃く、丁寧に食べるほど味わいが深く感じられます。
そして毛蟹といえば、やはり蟹味噌の印象が強い蟹です。

甲羅を開けた時の香り。
身と味噌を合わせた時の濃厚さ。
一杯をゆっくり味わう楽しさ。

このあたりに、毛蟹ならではの魅力があります。

毛蟹の味わい

項目印象
身の太さ小ぶり
食感しっとり、旨みが濃い
甘み穏やか
濃厚さとても強い
向いている料理塩ゆで、甲羅盛り、味噌と身を合わせる食べ方

毛蟹は、派手さよりも「味の濃さ」を楽しむ蟹です。
大きな脚を豪快に食べるというより、甲羅の中まで丁寧に味わう蟹と言えるかもしれません。

身の甘み、蟹味噌のコク、甲羅まわりの香り。
それぞれをゆっくり楽しむことで、毛蟹らしい深みが見えてきます。

毛蟹の豆知識

毛蟹は北海道を代表する蟹のひとつです。
北海道では資源を守るため、漁獲サイズや性別に制限が設けられています。

毛蟹は、身だけでなく蟹味噌も楽しめる蟹として人気があります。
塩ゆでするだけでもおいしく、蟹そのものの味をじっくり楽しむ食べ方によく合います。

また、毛蟹は地域によって漁期が異なります。
北海道の中でも、オホーツク海側、太平洋側、噴火湾など、海域によって漁獲時期が変わるため、年間を通じてさまざまな産地の毛蟹が楽しまれています。

かに久的に見る毛蟹

毛蟹は、蟹味噌まで楽しみたい方におすすめしやすい蟹です。

脚の太さで勝負する蟹ではありませんが、味わいの密度があります。
身をほぐし、味噌と合わせて少しずつ味わう時間は、毛蟹ならではの楽しみです。

「蟹味噌も楽しみたい」
「濃厚な蟹の風味が好き」
「一杯をゆっくり味わいたい」

そんな方には、毛蟹はとても魅力的な蟹です。

ずわい蟹

繊細な甘みと美しい姿、日本海の冬を代表する蟹

ずわい蟹は、日本の蟹料理の中でもとてもなじみ深い蟹です。

細く長い脚、すっとした姿、繊細で上品な甘み。
蟹すき、蟹ちり、蟹しゃぶ、焼き蟹など、さまざまな料理に使いやすい万能型の蟹でもあります。

タラバ蟹のように太い身を豪快に食べる蟹ではありません。
ずわい蟹の魅力は、ほぐれやすい身と、じんわり広がる甘みにあります。

鍋にすると、出汁の中に蟹の風味がやさしく溶け出します。
ポン酢で食べると、身の甘みと酸味のバランスがきれいに出ます。
焼き蟹にすると、香ばしさの奥に、ずわい蟹らしい繊細な甘みが残ります。

ずわい蟹の味わい

項目印象
身の太さ中くらい
食感繊細でほどけやすい
甘みとても上品
濃厚さ強すぎず、きれい
向いている料理蟹すき、蟹ちり、蟹しゃぶ、焼き蟹

ずわい蟹は、料理の幅が広い蟹です。
だしで味わう蟹すきにも、ポン酢でさっぱり食べる蟹ちりにもよく合います。

身の甘みがやさしいので、だしやポン酢の個性とぶつかりにくく、料理全体になじみやすい。
その意味では、ずわい蟹は「和食に寄り添う蟹」と言えるかもしれません。

ずわい蟹の豆知識

ずわい蟹は、雄と雌で大きさや呼び名が大きく変わる蟹です。

雄のずわい蟹は、地域によって「松葉ガニ」「越前ガニ」などのブランド名で呼ばれることがあります。
一方、雌のずわい蟹は「セコガニ」「コッペ」などと呼ばれることがあり、内子や外子を楽しむ文化もあります。

同じずわい蟹でも、地域や性別、漁期によって呼び方や楽しみ方が変わるところが面白いところです。

かに久的に見るずわい蟹

ずわい蟹は、蟹鍋にとても使いやすい蟹です。

だしで味わう蟹すき。
ポン酢でさっぱり楽しむ蟹ちり。
食べやすく切ったしゃぶ料理。

どの食べ方でも、ずわい蟹の上品な甘みが生きます。

はじめて蟹鍋を選ぶ方にも、ずわい蟹は分かりやすく、食べやすい蟹です。
蟹の風味を楽しみつつ、料理全体としてもまとまりやすいところが魅力です。

花咲蟹

北海道・道東を代表する、濃厚で力強い蟹

花咲蟹は、北海道の道東、とくに根室・釧路地方で知られる蟹です。

名前に「蟹」とつきますが、タラバ蟹と同じくタラバガニ科の仲間です。
甲羅や脚には鋭いトゲがあり、熱を加えると鮮やかな朱色になります。

見た目の印象がとても強く、ずわい蟹の上品さとはまた違った、力強い存在感があります。

味わいも濃厚です。
身の旨みがしっかりしていて、殻から出る出汁にも存在感があります。

花咲蟹は、きれいに身を味わうだけでなく、味噌汁や鉄砲汁のように、出汁まで楽しむ料理にもよく合います。

花咲蟹の味わい

項目印象
身の太さしっかり
食感力強く、濃い
甘みあり
濃厚さとても強い
向いている料理塩ゆで、鉄砲汁、味噌汁

花咲蟹は、ずわい蟹のような繊細さというより、もっと力強い味わいの蟹です。

香りも旨みもはっきりしていて、印象に残ります。
蟹の旨みをしっかり感じたい方、濃厚な出汁を楽しみたい方には、とても面白い蟹です。

花咲蟹の豆知識

花咲蟹でよく知られている料理に「鉄砲汁」があります。

鉄砲汁は、蟹を使った味噌汁のような北海道の郷土料理です。
とくに道東地域、根室地方で親しまれてきた料理として知られています。

名前の由来には、蟹の脚を箸でつついて食べる様子が、鉄砲に弾を込める動作に似ているから、という説があります。

花咲蟹は、殻からも濃い旨みが出るため、味噌仕立ての汁物にすると、その個性がよく伝わります。

かに久的に見る花咲蟹

花咲蟹は、少し個性的な蟹です。

万人向けの上品さというより、香りも味もはっきりしていて、記憶に残る蟹。
北海道らしい力強さを感じられる蟹、と言ってもよいかもしれません。

蟹の旨みをしっかり感じたい方。
濃厚な出汁を楽しみたい方。
いつもと少し違う蟹を味わってみたい方。

そんな方には、花咲蟹はとても面白い存在です。

4種類をひとことで言うなら

種類ひとこと
タラバ蟹太い脚を豪快に味わう蟹
毛蟹味噌までじっくり楽しむ蟹
ずわい蟹上品な甘みを味わう蟹
花咲蟹濃厚な旨みと出汁を楽しむ蟹

食べたい気分で選ぶなら

食べたい気分おすすめの蟹
身を大きく頬張りたいタラバ蟹
蟹味噌を楽しみたい毛蟹
鍋で上品に味わいたいずわい蟹
濃い出汁や味噌汁で楽しみたい花咲蟹
さっぱりポン酢で食べたいずわい蟹
焼いて香ばしく食べたいタラバ蟹・ずわい蟹
日本酒とゆっくり味わいたい毛蟹・ずわい蟹
個性的な蟹を楽しみたい花咲蟹

料理との相性

料理合いやすい蟹理由
焼きかにタラバ蟹・ずわい蟹香ばしさと身の甘みが出やすい
かにすき・すきしゃぶずわい蟹だしになじみやすく、上品な甘みがある
かにちり・ちりしゃぶずわい蟹ポン酢でさっぱり味わいやすい
姿ゆで毛蟹・花咲蟹蟹そのものの味を楽しみやすい
甲羅盛り毛蟹蟹味噌と身を合わせて楽しみやすい
鉄砲汁花咲蟹殻や身から濃い出汁が出やすい

栄養成分から見る蟹

蟹は全体的に、脂質が少なく、たんぱく質を含む食材です。
ただし、栄養成分は種類、部位、調理状態、塩分量によって変わります。

下の表は、文部科学省「食品成分データベース」に掲載されている可食部100gあたりの参考値です。
花咲蟹については、同データベースで個別の項目を確認できなかったため、ここではタラバ蟹・毛蟹・ずわい蟹の数値を掲載しています。

種類状態エネルギーたんぱく質脂質
タラバ蟹ゆで59kcal13.9g0.4g
毛蟹ゆで78kcal18.4g0.5g
ずわい蟹ゆで65kcal15.0g0.6g

たんぱく質量の目安グラフ

可食部100gあたりのたんぱく質量の目安です。

種類たんぱく質量
毛蟹・ゆで██████████████████ 18.4g
ずわい蟹・ゆで███████████████ 15.0g
タラバ蟹・ゆで██████████████ 13.9g

※調理状態や部位によって数値は変わります。食品成分表上の参考値としてご覧ください。

蟹味噌とは何か

お客様から「蟹味噌って脳みそですか?」と聞かれることがありますが、蟹味噌は脳みそではありません。

一般に蟹味噌と呼ばれる部分は、蟹の内臓の一部で、肝膵臓と呼ばれる器官です。
消化や栄養の蓄積に関わる部分で、独特のコクと風味があります。

蟹の種類によって、蟹味噌の楽しみ方は変わります。

毛蟹は蟹味噌の印象が強く、身と合わせて楽しむ方も多い蟹です。
ずわい蟹も蟹味噌を楽しめますが、雄と雌、個体の状態によって印象が変わります。
花咲蟹は、鉄砲汁など、殻や味噌から出る濃い旨みを楽しむ料理にも向いています。
タラバ蟹は、一般的には太い脚肉を楽しむ蟹として扱われることが多く、食卓では身の食べごたえが主役になります。

かに久で蟹を選ぶ時の考え方

蟹選びで迷った時は、まず「どんな食べ方をしたいか」で考えると分かりやすくなります。

豪快に蟹を食べたいなら、タラバ蟹。
蟹味噌までじっくり味わいたいなら、毛蟹。
鍋やしゃぶで上品に楽しみたいなら、ずわい蟹。
濃厚な出汁や北海道らしい個性を楽しみたいなら、花咲蟹。

同じ蟹でも、向いている料理や味わい方は少しずつ違います。

この違いを知っておくと、蟹料理はもっと楽しくなります。

まとめ

タラバ蟹、毛蟹、ずわい蟹、花咲蟹。
どれも「蟹」として親しまれていますが、それぞれにまったく違う魅力があります。

タラバ蟹は、太い脚と豪快な食べごたえ。
毛蟹は、蟹味噌まで楽しめる濃厚な旨み。
ずわい蟹は、上品な甘みと料理へのなじみやすさ。
花咲蟹は、濃い出汁と力強い風味。

蟹の種類を知ることは、料理をもっと楽しく味わうための小さな入口です。

かに久でも、それぞれの蟹の個性を大切にしながら、料理に合わせた楽しみ方をご提案していきたいと思います。